2007年秋の予言を1つ。1台の携帯電話が人類を暗黒の時代から救い出し、ローミング料金やボタン操作から解放された、よりよい未来へと導いてくれるだろう。
人やものを選定するのが好きな「TIME」誌が、1年を代表する発明品「Invention of the Year」(IotY)を発表した。過去には「YouTube」や「SpaceShipOne」も選ばれているが、2007年はAppleの「iPhone」がその栄冠を手にした。iPhoneが選ばれた理由として、第一に挙がっているのは、「格好いい」というものだ。具体例も示している。「iPhoneを『飛行機』モード(電話やWi-Fi機能を利用できないモード)にしたとき。小さなオレンジ色の飛行機マークがメニューバーにズームで現れる」。クールだよね。
受賞を報じるこの記事は、iPhoneがコンピュータ業界にとって非常に重要な製品である理由をいくつか紹介している。実際の販売実績はもちろん、iPhone関連の収まることのない大騒ぎは、一般大衆がモバイルコンピュータに何を求めるべきかを真剣に考え始めた証拠だ。iPhoneの登場によって、ワイヤレス業界は目を覚まし、提供すべき製品の基準が高くなったことに気づいた。iPhoneはまた、モバイルコンピュータが生活の中で次第に大きな部分を占めるようになる未来のおぜん立てもした。
技術系のメディアであるわれわれが、2007年を代表するハイテク製品を1つ選ぶとしても、最終選考の3つにiPhoneを入れるのは間違いなく、そしてたぶん、1位にiPhoneを選ぶことになるだろう。だが、「本年度最高の発明品」だろうか?
大衆雑誌であるTIME誌は、科学や技術の他の分野における最重要で注目すべき進歩を含む、より広範なカテゴリを検討対象にすべきではないのか?一般消費者向け製品より、いつの日か地球により深く大きな影響を及ぼすかもしれない画期的発明を選ぶべきでは?
まあ、おそらく無理だろう。結局のところTIME誌は、2006年の「Person of the Year」に、「あなた(you)」と、ユーザー生成型コンテンツ、Web 2.0、流行語の皮肉がわからない人々を選んだ雑誌なのだ。同賞はこれまでにも、1966年の「25歳以下の人々(ベビーブーマー)」、1969年の「米国の中産階級」、1975年の「米国の女性」など、奇妙な選択をしている。時によっては、1年の間に世界を変えることに貢献した人やものについて真剣に考えるより、誰もが幸福になるような選択をする方が簡単なのだ。
加えて、科学は難しい。科学分野の専門的なことを取り上げるより、デザインが素晴らしいとか、見栄えがこれまでで最高といったことを話題にする方が、よっぽど楽なのだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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