ブリッジメディアがもたらす迂回路だらけの検索結果--広告主が判断すべきこれからのポイントとは?

Webマーケティングガイド2007年11月05日 13時00分

 Yahoo!でも、Googleでも、検索を行うと多数の広告枠を伴った結果が表示される。検索エンジンに対して打ち込むワードは、利用者が検索したい事象の断片が多く含まれる。

 最も多いであろうそれは、当該事象の名称であったり、商品名であったり、サービス名であったりすると思われる。これらをワードという形で検索すると、本来その断片を保有するであろう企業や団体のページ以外に、冒頭の広告枠の検索結果に、多数のマッチングサイトが表示されることが少なくないのではないか。

 本来の検索意図の対象サイトへの本流経路以外に、数多の傍流経路が構築されているのである。この傍流を構築しているサイトを我々はブリッジメディアと総じて呼称している。

 ブリッジメディアとは、本来の対象サイトに対して、迂回させて橋渡しをしているので、橋渡し=ブリッジさせている、という状態を表現している。このブリッジメディアは、アフィリエイトビジネスと連動しており、彼ら(ブリッジメディア構築者)は、全てアフィリエイターと言い換えることもできる。

 インターネット上での消費者行動が検索と連動した上で、行われる一連の流れが定着化していくにつれて、このブリッジメディアは密かに下地を広げてきたと言える。旧来のインターネット上でのメディアとは、消費者を何らかのインセンティブを持って集め、個人情報と併せた趣味嗜好などの属性情報を登録させた上で、広告主側が期待するフェイス情報をスクリーニングし、広告を届けていた。いわゆる懸賞サイトや、DM配信サイトなどがそれに当たる。

 我々はこのような一旦個人情報を集めた上で、広告主ニーズにマッチングさせて、媒体価値を構築するメディアを旧世代メディアと呼んでおり、消費者が自ら適切な情報をインターネット上から探し出すリテラシーが低かった時代に必要とされたメディアだと考えている。

 ブリッジメディア登場は、これら旧世代メディアが媒体価値を大きく失っていく流れには反比例してその役割を代替してきたとも言える。検索エンジンの常用化という時代の変遷に則していることから、第二次世代メディアという認識をしている。

 但し、ブリッジメディアの存在は、広告主にとっては忌み嫌う存在という側面もある。広告主が保有することが妥当であろう商品名や、サービス名を彼らに入札されてしまい、本来の目的である自社サイトへの直接的なトラフィックが妨げられてしまう、という観点である。

 広告主はPPC広告、CPA広告いずれかの成果連動の広告支払い形態での出稿をしている場合、彼らに狙われる可能性を持つのである。彼らは、消費者が検索エンジンから当該広告主にたどり着くであろう、経路を予め検索ワードというマップから理解しており、そのマップ上に迂回路を書き足してしまうのである。

 この迂回路、すなわちブリッジは、広告主にとっては顧客が有料道路を通ってやってくるという言い換えができるはずである。もちろん、その通行料金は広告主負担である。昨今、広告主がこの迂回路の整備に躍起になっているのを見かけるようになった。

 ただ一方、自社への案内掲示板という認識をもって、積極的にこの迂回路建設を促している広告主も存在する。その理由とは何か。

 検索エンジンの広告枠は、広告主1社が検索エンジンに対して広告出稿できるのは1ワードあたり、1枠のみと限定されていることが主な原因である。要するに、特定ワードにおいて自社へのトラフィックを多く図りたい場合、複数の検索結果からも、自社に対して導線を設計することで、そのトラフィックは極大化するのである。

 まさにブリッジメディアを利用した逆転の発想だが、昨今広告代理店が、これらを「検索結果の占有化」や「ワード単位でのトラフィックの極大化」といった名称で商品提供しているのも多く見かけるようになった。

 それは、迂回路を無くしてしまうより、数多の流入経路を持つことが、マーケティング上効果がある、という判断をする広告主が増えつつある、という見解も可能であろう。

 広告主側としては、検索結果に常に表示されるサイトは、あくまでコーポレートサイトであり、マーケティング上、最も露出したい商品やサービスが、検索結果に表れるサイトから最短距離に設定されているとは限らない、という内部事情もあるのであろう。

 総論として広告主はアフィリエイト広告と検索エンジン広告を別離して戦略を決定する時代は終焉を迎えており、複合的に顧客を迎える導線設計を根本から構築しなおす必要が出てきたことを認識するべきであろう。それは、広告における費用対効果の指標を新たに設計することにも繋がると考えられる。

 自社商品やサービスに対する消費者の接触機会を、どのように構築するのか。この問いは、インターネットマーケティング上だけの特有の事項ではなく、自社商品を大型量販店だけに卸すのか、数多のコンビニエンスストアにも卸すべきなのか、幹線道路からの流入だけで良いのか、市街地道路からの流入はなくて良いのかどうか、といった一般流通におけるマーケティング判断を伴う時代に変遷してきたことを伺わせるものだと思う。

小幡好昌(株式会社セプテーニ・クロスゲート)

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