10月25日に開催した「CNET Japan Innovation Conference 2007」。「敵対?融和?それとも…テレビとインターネットの将来図」のセッションでは、YouTubeをはじめとする動画サイトがおよぼす放送事業への影響などについて議論。ビデオリサーチインタラクティブ代表取締役社長の荻野欣之氏、東京メトロポリタンテレビジョン(東京MXテレビ)編成局報道制作部プロデューサーの草場大輔氏が登壇し、それぞれの立場から現状報告と今後の見通しを示した。
2006年7月、放送事業者でありながら一般ユーザの立場でYouTubeにコンテンツをアップロードし、話題を集めた東京MXテレビ。その狙いについて「メインは話題づくり。(東京地域の)ローカル放送事業者として、より多くの視聴者に知ってもらう手段と考えた」(草場氏)と説明した。
現在ではYouTubeと正式に提携し、サイト内に専門のブランドチャンネルを立ち上げるまでに至ったことについては「放送局が一般ユーザとして参加するという『面白み』は薄れたが、放送ではコンテンツが届けられない全国地域から一定の反響をもらえている」と評価。人気コンテンツについては「ニュース画像。ブログなどのニュースソースとして画像が利用できるという点で使い勝手が良いらしい」とした。
メディア接触調査の専門家の立場から、データを示して傾向を紹介した荻野氏。それによれば、動画サイトの接触動向は年々増加傾向にあり、2006年から2007年にかけては10ポイントの増加。また、全体の6割近くがYouTubeへの接触であり、動画サイト接触率増に「多大な貢献」をしていることがわかる。
また、メディア接触時間のシェア別にみると、4大メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)に対するPC、モバイルの割合は年々上昇。特に10代女性においては、モバイルが全体の4分の1を占めるまでに至っている。
こうした状況について、荻野氏は「今後も一定の伸びはあるが、限界点がある」との見方を示す。「割合的にPC・モバイルがテレビを越えるとは考えにくく、仮にそうなるとしたら(PCで地上波テレビを視聴するなど)端末のシームレス化が起こった場合では」(荻野氏)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果