楽天は10月29日、仮想モール「楽天市場」に出店する店舗の詐欺などで生じた消費者被害を補償する制度を導入した。
出店舗の詐欺行為や倒産などで利用者が商品代金を支払い済みであるにもかかわらず、商品が届かないケースなどに適用。楽天が損害額を補償することで利用者の安心感を高め、ネット通販初心者の利用を促したい考え。
導入した利用者補償制度「楽天あんしんショッピングサービス」は「楽天市場」で買物をしたすべての楽天会員が対象。被害を受けた利用者に年間1回まで、被害額の大半を楽天が補償する。
補償の上限額は50万円に設定し、「プラズマテレビのような高額家電を除き、ほぼすべての商品は全額補償できる」(楽天社長の三木谷浩史氏)としている。車やバイク、印紙、商品券などは対象外となる。
これまで、楽天は商品未着などが発生した場合、個別に弁済などを行ってきた。また、補償しなければならないような事態が生じたのは、過去10年間で数件程度としている。
あえて補償制度を導入した理由について、「(補償を)制度化することで利用者に安心感を与え、未経験者の利用を促したい」(三木谷氏)としている。
同制度導入のきっかけとしては、2007年6月に発生した「楽天市場」出店店舗で家電等を販売していた「秋葉原OG商会」を巡る詐欺事件の影響もあった模様。同店舗で買物した利用者が商品代金を振り込んだにもかかわらず、商品が届かない事態が起こり、総額百数十万円と見られる消費者被害が発生していた。
こうした詐欺被害で生じた既存利用者の不信感を払拭するためにも、「出店者の出店審査強化や出店後の監視体制の見直しと同時に、補償制度を導入した」(広報)としている。
なお、仮想モールにおける詐欺被害などの弁済制度はディー・エヌ・エーが運営する「ビッダーズ」(オークションも含む)が2000年から、年間3回までで補償の上限額を10万円として実施済み。ヤフーの「ヤフー!ショッピング」は制度化していないが、「消費者保護の観点から、個別に対応している」(ヤフー広報)としている。
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