連邦破産法第11章の破産保護からの脱却を目指すSCO Groupが、同社のUNIX関連資産をYork Capital Managementに最高3600万ドルで売却したいと考えている。これは、同社が今週、破産手続きを監督している破産裁判所に提出した申請書の中で明らかにしたものだ。
同申請書によると、SCOとYorkの契約内容は以下の通りだ。第1に、YorkはSCOに現金1000万ドル支払う。第2に、YorkはSCOのLinux関連訴訟の費用として最高1000万ドルを貸し付け、SCOがその訴訟で得た利益の20%を受け取る。第3に、Yorkは600万ドルでSCOのモバイル機器向けデジタルサービス「Me Inc.」のHipChecks製品のライセンスを取得し、同製品の売り上げをSCOと分配する。
現在SCOは、NovellとIBMに対するLinux関連訴訟に取り組んでいる。これらの訴訟は、費用がかさんでいる上に論議を呼んでいる一方で、今のところほとんど成果は上がっていない。そのSCOが裁判所に対し、同社の資産に対する入札プロセスの迅速化を承認するよう促した。この競売では、York以外の企業や人物がより高い金額を提示することもできるが、時間こそが重要だ、とSCOは破産裁判所への申請書の中で述べている。
「債務者(SCO)の財務状態や、それ以上に重要なこととして、(現在SCOと取引関係にある)既存顧客、(また将来取引関係に入る可能性のある)潜在顧客は移り気という事情を考慮すれば、債務者は一刻も早く、資産をなるべく高い価格で売却しなければならない」(同申請書)
現在SCO Groupを悩ませているのは、着実に減少しつつある売り上げと、8月に下された敗訴判決だ。裁判所は、SCOが購入したと考えていたUNIXの著作権がNovellに帰属すると認定した。しかし、どうやらSCOは今後も訴訟を続けるつもりのようだ。今回のYorkとの資産売却契約では、NovellやIBMと争っている訴訟がYorkに移転されないことが明確に記載されている。
UNIXは、同プロジェクトの当初のスポンサーであるAT&TがUNIX関連の資産を売却して以来、長く紆余曲折の歴史を歩んできた。UNIX関連の資産は、まずNovellに売却され、その後にSanta Cruz Operationに移転し、さらにLinux販売業者のCaldera Internationalの手に渡った。そのCaldera Internationalが、SCO UNIX製品で事業の建て直しを図ろうとし、社名をSCO Groupに変更した。しかし、一体どの知的財産(特許、商標、著作権、企業秘密)が新たな所有者に移転し、あるいは前所有者の手元に残っているのかを解明するのは極めて困難だ。
SCO関係者とYorkの関係者に、両社の取引についてコメントを求めたが、すぐに回答は得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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