Business Objectsの同社の中堅企業向けアプローチはどんなふうに改善されたのか、そしてSAPとの合併の背後にはどんな考え方があるのか―Business Objectsの中小企業戦略担当バイスプレジデントTodd Rowe氏が語った。
Business Objectsの中堅企業市場向け戦略を担当するバイスプレジデントTodd Rowe氏によれば、ビジネスインテリジェンスの「小さな秘密」は、企業は中小企業に対して大企業向けのビジネスインテリジェンス製品を売ろうとしてきたということだ―中小企業を満足させないままに。
Rowe氏はZDNet.co.ukに対し、Business Objectsはこの悪習を一掃し、中堅規模企業に適した製品を作っていると語った。SAPが同社を買収することを10月の初旬に発表しており、Business Objectsの中堅市場向けの動きはこれに間に合った形だ。今回の買収に驚く人は多くはないが、一部のアナリストは懐疑的な態度を取っている。
しかし、SAPとBusiness Objectsの関係は順調に進んでいるようであり、世界有数のエンタープライズリソースプランニング(ERP)ベンダーと、業界屈指のビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェア企業の合併は、十分自然なものに見える。
Rowe氏は、この合併の背後にある考え方と、なぜ同社が中堅規模企業に対するアプローチを改革したかを説明し、前述の秘密の詳細を話してくれた。
もちろん答は「イエス」です。その理由を説明しましょう。われわれが顧客に接するときに問題になるのは、ビジネスインテリジェンスが理解されていないということです。われわれは「ビジネスインテリジェンスって何だ?」というような質問に答えなければなりません。少なくとも中堅企業市場では、われわれの相手はMicrosoftのような企業ではなく、マーケットの意識なのです。非常に強力な業界のリーダーであるSAPとの有力な組み合わせは、この問題を改善してくれます。このニュースは、アナリストにも好感されています。
われわれは、年間売上高と従業員数の両面から見ています。英国では、売上高で約5億ポンド以下、従業員数で約1000人以下の企業があてはまります。もちろんこの定義は国によって異なります。イタリアにおける中堅企業市場は、日本市場での定義とは違うものになります。
次に、中堅企業市場をいくつかに区分しています。中堅企業市場の上位の顧客のニーズは下位の顧客のニーズとは異なります。ですから、中堅企業市場で成功するかどうかは、それぞれの区分で十分な販路をカバーしているかどうかに依存します。実際、われわれの自身に対する最初の問いかけは「なぜわれわれは中堅企業市場に興味を持つのか」ということであり、「ハイエンド市場でも事業展開できるのに、なぜ中堅企業市場で手間をかけるのか」という質問を受けます。
第1の理由は、中堅企業市場は大企業市場よりも50%速く成長しているということです。IDCによれば、BI分野の中堅企業市場の年間成長率は12.5%であるのに対し、大企業市場は8.3%です。
第2の理由は収益性です。中堅企業市場の方が利幅がずっと大きいのです。われわれの事業の大半はパートナーを通じて提供され、パートナーが販売のコストの大半を管理します。中堅企業市場の方がBusiness Objectsにとって販売コストが低く、そのため利幅も大きくなります。
3つめの理由は、少なくともBI市場においては、競争が非常に分裂しているということです。上位80%のシェアにいくつのベンダがあるかを数えると、大企業市場にはCognos、Hyperion、MicroStrategy、Business Objects、そしてもう1社の5つのベンダしかありません。
これに対し、中堅企業市場には18のベンダがあります。これは、明らかな業界リーダーはまだ存在せず、市場シェアを獲得する余地があるということを意味しています。
今年2月、われわれは他の主要なBIベンダがこれまでにやっていない2つのことをしています。1つは中堅企業市場に特化した事業部門を1つ作り、小規模および中規模の企業のために1000人以上の従業員を配したことです。彼らは営業だけではなく、エンジニアリングから顧客サポートまですべてを担当します。
つまり、これは単に話だけでなく、固定費でかなり大きな投資をしているということです。口だけでなく金もだしているのです。
2つめは、中堅企業市場に向けて特別に開発された製品ラインの販売を始めたことです。これが大切な理由は、次のようなものです。
これはBI市場の小さな秘密といえることだと思います。われわれは過去に中堅企業市場でも商売をしてきましたが、大企業向けと同じものを販売しており、これはかなり複雑でまた高価でもあったということです。われわれは単純に値引きをして、これが中堅企業市場向けの商品だと言ってきました。Cognosもそうでしたし、MicroStrategyも、そしてわれわれ自身もそうしていました。
われわれは「あの製品よりはもう少し有効な機能がありますよ」と説明していたわけです。われわれはこの1セットの製品ラインと、製品投入によって機能を増やしていける段階的なアプローチを作りました。われわれは単純さ、アクセシビリティ、常識的な値段という3つの指針を基にこの製品を作りました。
機能が重要です。われわれは、小規模企業と中規模企業の要件が大企業のものと同様であることを理解していたので、単純に機能を削るわけにはいきませんでした。中堅・中小企業は、大企業と同じ要求事項を持っているのです。このため、われわれは機能を削るのではなく、加えることによって単純化することを考えました。
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