ナレッジマネジメントソリューションのリーディングカンパニーとして、9月19日にマザーズ上場を果たしたリアルコム。上場という一つの節目を迎え、代表取締役社長兼CEOの谷本肇氏が、改めてこれまでの同社の歩みと現状、今後の展望について語った。
谷本氏:起業直前までの6年間はシリコンバレーに住み、アメリカのベンチャー企業と日本の大企業の研究開発提携、販売提携等のコンサルティングを行っていました。要するに、アメリカの有望なベンチャーを発掘し、日本企業に紹介する橋渡し役ですが、成功報酬ベースの仕事なので、いかにベンチャー企業の将来性を見抜くかが勝負の分かれ目でした。
谷本氏:ベンチャー企業の有望性を検討するといっても、どの企業も技術やビジネスモデルは常に先端のものなので、当然それだけでは判断できません。やはり最も重要な判断材料となるのは、バックに付いているベンチャーキャピタルの質。さらにいえば、時代を作っている優秀なベンチャーキャピタリストなど、信用できる人から紹介された企業であることです。
結局、人づてが一番早く、かつ確実なんですね。この「重要なことは人に聞かなければわからない」という実感こそが、起業のモチベーションの一つになりました。
谷本氏:シリコンバレー流のワークスタイルを自らの会社で実現したい、という欲求ですね。よくハリウッド・スタイルとも呼ばれますが、ハリウッドでは、カメラマン・脚本家・プロデューサー・俳優など、普段は別々の組織に属している人たちが、映画というプロジェクトの立ち上がりと同時に有機的に集合し、また解散していきます。同じようなワークスタイルがシリコンバレーでも起きていて、例えば異業種交流会やパーティーで盛り上がり、それが世界を変えるようなビジネスに発展する、というダイナミズムを持っている。
企業内および企業間、場合によってはコンシューマーも含め、人と人とが組織の壁を越えて有機的につながっていくことこそ、今後の組織のあり方だと痛感し、それをITの世界で実現したいと思ったんです。
谷本氏:そうです。「Kスクエア」は、イメージとしては有料版の「OKWave」、構造的には「はてな」に近いもので、換金性のあるポイント、いわゆるコミュニティ通貨を導入し、回答者にポイントを支払うシステムでした。
「Kスクエア」のスタートは、「はてな」が立ち上がる1年以上前、2000年5月でしたが、当時はまだ常時接続の環境が整っておらず、また情報の有料配信に対するユーザーの意識も低く、ビジネスモデルとしては少し早過ぎるものでした。
谷本氏:どこで始めてもいずれグローバライズする、と思っていましたから、日米どちらで創業するかについては、東京か大阪か、ぐらいの違いにしか感じていませんでした。ただ、2000年といえば、ちょうどビットバレーと東証マザーズができた年です。その流れに乗り、かつ自分も何か貢献したい、という思いから日本を選んだんです。
それに、どこで立ち上げるかは、基本的に事業モデルによって決まってくるもので、むしろ重要なのは、どの市場を対象にするかだと思います。これは自分自身気を付けていることですが、今の一般的な日本のITベンチャーは、アメリカでやっているものをマネする、あるいは改善する、という考え方を持っています。そういう企業がアメリカに行っても意味がないでしょうし、まず日本で成功を収めて、次のステップがアメリカ、という考え方では、うまくいかないと思いますよ。
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