任天堂は、2007年10月10日に千葉県・幕張メッセ イベントホールにて、「任天堂カンファレンス 2007.秋」を開催。Wiiフィットを国内初公開したほか、サードパーティのタイトルを含む、多数の有力タイトルをプレイアブルで公開した。
カンファレンスは2部構成で行われ、第1部では任天堂 取締役社長 岩田聡氏から、ゲーム人口拡大のためにこれまで任天堂が行ってきた施策と、今後の戦略についての説明が行われた。
第2部には、任天堂 専務取締役 宮本茂氏とゲストによる、体験プレイによるWiiフィットのプレゼンテーションが行われた。また、カンファレンス終了後にはサードパーティタイトルを含めた、ニンテンドーDSとWiiタイトルの体験会が開催された。
本記事では、第1部の岩田社長による任天堂の戦略について紹介する。
登壇した岩田社長は、これまで任天堂が行ってきた基本戦略「ゲーム人口の拡大」と、過去3年間に市場で起こった変化について説明した。
岩田社長は、2004年12月に発売したニンテンドーDSと、タッチジェネレーションソフトやWi-Fiコネクションなどを代表とする多くの施策により日本のゲームユーザー層は拡大。2006年は、ニンテンドーDSで多くのヒット作が生まれたことにより、日本のゲーム市場は10年ぶりに大きく広がったと語った。
また、昨年発売した「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」は全世界で1400万本販売しており、Wi-Fiコネクションを使用した全世界的にポケモントレードが広がっている。その交換数は、2000万匹以上。国境を越え、言葉を超え、世界中のDSユーザーでコミュニケーションが行われるようになったという。
ゲーム人口の拡大は2007年に入っても進行しており、業界全体の市場規模は約25%拡大。据え置き型ハードの売り上げは、WiiやPS3の発売により昨年対比で約5倍。そして、市場の拡大はハードの拡大によって広がっているが、その分母はまだ少なくPS2ソフト減少分をカバーするまでには至っていないというのが、岩田社長の見解だ。
任天堂プラットホームのハード・ソフト合計した売上高は、昨年の同時期に比べて49%伸び、ゲーム市場に占める任天堂プラットホームの割合は、54%から64%まで上昇。
ソフトについては、ニンテンドーDSの占める割合が49.2%を占めるまで拡大し、さらに、Wii発売によって据え置き型でも売り上げランキング30位までに5タイトルを占めるまで拡大と、任天堂プラットホームが市場のイニシアチブを握ったことをアピールした。
また、岩田社長は、 「任天堂プラットホームは任天堂タイトルしか売れないという指摘を受けるが、2006年は市場が激変した年であり、任天堂がDSタイトル開発に投資を突出していたために77.1%を占めるにまでいたり、批判を受けるのは仕方がなかった。しかし、市場の激変を受け、各ソフトウェアメーカーがニンテンドーDSの開発に投資を本格化したことで、任天堂タイトルのシェアは、50.3%まで低下。今後、多くのタイトルが発売されるニンテンドーDSでは、さらにソフトウェアメーカーの市場シェアが上がっていくことだろう」 と、ニンテンドーDSでも確実にサードパーティタイトルが売れている現状を説明。Wiiに対しても同様に推移していくだろうと見解を示した。
このユーザー人口拡大についての補足として、岩田社長は任天堂が年に2回、東京と大阪で行っている3000人規模の面接調査の結果を公表した。
これによれば、2005年のゲームボーイアドバンスのユーザー層は、低年齢層がきわめて強い市場を構成していたが、ニンテンドーDSでは幅広い層に拡大をしており、特に女性の割合が53%に達しているという。
同様にゲームキューブの市場調査では、低年齢層に厚みがある構成にだったのに対し、今年7月時点(約300万台出荷)でのユーザー構成は、普及の初期段階にあるにもかかわらず、幅広い年齢層に受け入れられている。女性比率も51%と過半数を超えている。
さらに、世帯あたりのユーザー数は、ニンテンドーDSが3.0、Wiiでは3.5と市場もっとも高い数字となっており、これは任天堂プラットホームが受け入れられているという証左だと岩田社長は説明し、特に女性層の獲得はゲーム人口の拡大と活性化に大きな役割を果たしていると語った。
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