日立情報、上方修正濃厚で株価も二番底から上昇へ

 日立系情報処理大手の日立情報システムズの業績が、金融業界向け案件の好調に支えられて好調な推移をみせている。さらに、中国市場での新たな展開などの積極姿勢などへの評価も期待できることから、株価も二番底確認から中期的には年初来高値(7月2日の2790円)を超える2800円台乗せに向けて期待が高まってきた。

 

 同社は10月25日に9月中間期の連結決算の発表を予定しているが、従来予想の売上高880億円(前年同期比1.5%増)、営業利益40億円(同21%増)、経常利益40億円(同15.3%増)、純利益23億円(同17.8%増)を上回る結果となる可能性が濃厚となってきた。

 

 これは、第1四半期(2007年4〜6月)に引き続いて第2四半期(同7〜9月)も大手クレジットカード会社など金融機関向けの運用サービスや、システム構築が好調な推移をみせていることに加え、会社側が今期の期初に見込んでいた、不採算案件に伴う費用の増加が想定を大きく下回る見通しとなってきたことが背景にある。

 

 また、10月以降の下期には、これまで開発を進めてきた地方自治体向けのパッケージソフト「e-Adworld2」の販売開始などによる寄与も見込めることや、データセンター運営の仮想統合などのコスト削減効果が見込めることから、通期の業績も上方修正される可能性が高まっている。

 

 また、同社が中国でのアウトソーシング市場に参入したことも市場関係者の関心を集めている。同社は、ERP事業、ネットワークサービス事業のアジア市場向けグローバル展開を進めてきたが、このほど、アウトソーシングサービス事業のグローバル展開に着手したと9月26日に発表した。その第1弾として、中国遼寧省大連市の新進のソフトウェア会社「大連創盛科技有限公司」に、多台数のサーバを効率的かつ安定して運用監視できる運用監視基盤技術を供与する。また、データセンターの設立・運用のマネジメントノウハウベースの指導もあわせて実施する。

 

 中国では、外資系企業によるデータセンタサービス、AMO(アプリケーションマネジメント・アウトソーシング)などは認可されていないものの、今回のビジネススキームでは、大連創盛が事業を行い、日立情報は技術供与・技術指導の対価のみを収入とする。これにより、日立情報では間接的に、アウトソーシングサービスの事業領域を中国に拡大する。

 

 中国では、インターネット系データセンタ(iDC)は多数運営されているが、企業内情報システムの業務運用を高レベルのサービス内容で受託するデータセンタは少なく、AMOのほかASP(アプリケーションサービスプロバイダ)やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の業態は確立されていない段階だ。同社では、大連市を皮切りに、他の地域の中国IT企業にも技術供与、センタ設立・運用の技術指導を行い、アウトソーシングサービスのフランチャイズ展開を推進する。これにより、中国のアウトソーシングビジネスの発展に技術・知識の提供での貢献を目指す。

 

 今回の中国アウトソーシング市場参入により、日立情報では、中核事業であるERP事業、アウトソーシングサービス事業、ネットワークサービス事業の3本柱を中国に確立することになる。日立情報では高レベル・高付加価値のシステム構築・運用を求める日系・欧米系の中国進出企業に対し、フルスコープのITサービスを提供し、アジア市場向けグローバルビジネスを加速する。

 

 同社の株価は、7月2日の年初来高値2790円をつけて以来下落トレンドをたどり、8月10日には2205円の年初来安値をつけた。その後、9月26日には2320円の安値で二番底をつけて反転上昇の兆しをみせはじめている。9月中間決算発表時点でもし通期業績が上方修正された場合、連結PERは15倍程度に低下する可能性もあるため、今後は2800円水準まで買い進まれることが期待できそうだ。

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