米Microsoftとユネスコアジア太平洋地域は9月6日、障害者向けのICTカリキュラム「CARE」を発表した。また、今回の発表に伴い、関係者による説明会を都内で開催した。
今回発表されたCAREは、東京大学とマイクロソフトが共同で開発した、障害者向けアクセシビリティーカリキュラムを国際展開するというもの。現在は、日本のほかオーストラリアでもすでに展開されているが、今回改めて使用されているテキストやツール類を英語化し、アジア太平洋地域、さらにはヨーロッパに向けても展開していくという。
CAREは、環境省の後援のもと、教育関連団体、ソフトウェア関連団体などが中心となり2003年11月に設立された「ICT教育推進プログラム協議会」が作成したICTスキルアッププログラム「ICTアクセシビリティ」を土台にしている。
これをもとに、同協議会では障害のある児童のパソコン利用に焦点を当て、ウィンドウズに標準搭載されているユーザー補助機能を活用し、障害に応じたパソコンの利用方法や配慮すべき点を解説する研修などを各教育現場で行っている。
マイクロソフトは、ICTスキルの習得のためのトレーニング環境やカリキュラムを政府機関や教育指導者に提供することを目的とした「マイクロソフトPiL(Partners in Learning Program)」の一貫として、プロジェクトの中心的な立場をとっている。そのほかにも、2007年3月には東京大学と共同で、「DO-IT(Disabilities, Opportunities, Internetworking, and Technology) Japan」を立ち上げ、障害のある若者に対する学習支援プログラムを手がけている。
説明会には、DO-IT Japanの会長を務める東京大学先端科学技術センター特任教授の中邑賢龍氏が出席。「障害者のためにパソコン用のアクセシビリティーを配慮しようとなると、どうしても高価な機器やプログラムが必要だという印象がある。しかし、実はウィンドウズには標準で利用できるユーザビリティーの設定があることは意外と知られていない。この現状をなんとかしなければ、という思いがマイクロソフトと一致して、こうした取り組みに結びついた」と、プログラムの共同開発に至った経緯を明かした。
また、日本から世界に展開する取り組みとして、今回のプロジェクトはマイクロソフトでは初の試みとなる。同席したマイクロソフトプログラム&マーケティング部の滝田裕三氏は、「このプロジェクトの成果は、OS開発にもフィードバックされている。Vistaにも反映されている」と語った。
さらに、マイクロソフトのアジアパシフィック地域の公共インダストリー統括本部の地域マネージングディレクター(Regional Managing Director for Public Sector, Microsoft Asia Pacific)のPeter Moore氏は「この東京大学と共同で開発されたプログラムを世界に向けて発信して、さまざまな影響を及ぼしていくことを期待している」と、同プロジェクト開始にあたって挨拶の弁を述べた。
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