IBMはケープタウン大学の研究者と協力し、グリッドコンピューティングを利用して南アフリカの気候変動をモデル化しようと試みている。
AfricanClimate@Homeのプロジェクトは、World Community Gridを使用して数値を処理し、同地域の既存の気候パターンを分析するモデルを構築することを目指している。データを活用して気候変動によって起こりうる潜在的なシナリオをモデル化し、洪水などの災害による被害を減らすための予防的な対策を講じられるようにする目的だ。
「われわれはアフリカ南部の気候変動を分析する、より確実性の高いモデルの構築を目指している」とIBMの英国における社会貢献活動(Corporate Community Relations:CRS)を担当しているマネージャーのMark Wakefield氏は語る。「同地域の気候変動を予報および予測できるようにするのが目標だが、現時点では基本的なビルディングブロックがそろっていない」
Wakefield氏によると、World Community Gridは「1台のスーパーコンピュータよりもはるかに高速」であり、気候の計算における複雑性や関与する変数の数を考えると、このような処理速度が必要になるという。
ケープタウン大学の気候システム分析グループの主任研究者であるMark Tadross博士は次のように語る。「気候の予測には、気温、風速、気圧、湿度といったあらゆる変数が存在するため膨大な計算能力が必要になる。モデルを改良するためには、局地的な地域で観測される実際の気象条件により近似させるための、より優れたアルゴリズムを考案する必要がある」
Wakefield氏は、グリッドコンピューティングを使用した計算では、人々のコンピュータシステムの使用されていないサイクルを活用するので、エネルギーの消費増加によって気候温暖化を促進することはないと指摘する。「IT活用の大原則は使用されていないマシンの電源を切ることだ。(しかし)ほとんどの人は何らかの形でコンピュータを利用しており、電話をかけたり、会議ではラップトップの電源を入れっぱなしにしておいたりする。われわれは、そのようにすでに消費されているエネルギーをもっと有効に活用したいと考えている」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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