日本の次世代を担うベンチャー企業。中でも、起業精神旺盛な学生を多数輩出することは、日本にとって目下、重要な課題の1つであると言える。
「ネットバブル崩壊」「ライブドアショック」を経て、学生の起業意識は薄まってきているようにも映る。新卒採用は売り手市場となり、学生の根強い大企業志向もこれに拍車をかける。
こうした中、今現在の学生起業家たちは何を思い、何を目標として起業に臨んでいるのか――。IT業界を軸に日本のベンチャー業界を研究する佐俣アンリ氏(慶應義塾大学5年生)が、同じ学生の立場から学生起業家たちの本音に迫る。
佐俣氏:佐俣アンリと申します。僕は頑張っている人が好きで、今はその応援がメインになってます。とくに学生起業家が好きで、そういう人たちを繋げたりすることをしています。
ではまず、自己紹介を兼ねてみんながどんな会社をやっているのか、というあたりから聞きたいと思います。
伊藤氏:BeGood Japanの伊藤です。ウチは東京都主催のビジネスコンテストで優勝させて頂いて、そこから東京都の支援を受けてできた会社です。事業内容は簡単に言えば不動産です。ただ、普通の一般賃貸ではなく、ルームシェア、ハウスシェアに特化した住み方を提案させて頂いてます。
日本では一般に「ジェイリート」と呼ばれているような投資用物件が増えていると思いますが、それはほとんど投資効率がいいワンルームなんですね。逆にファミリー向け物件は投資効率が良くないので、困っているオーナーさんが多いんです。そこでオーナーさん側にはその物件をルームシェアという形で貸していきましょうという提案をしています。
一方、学生さん側はルームシェアをしたいと思っても直接交渉ではなかなかオーナーさんがOKをしてくれないものなので、そこを当社が管理代行、契約代行をしていこうというわけです。それによってオーナーさん、管理会社さんにもメリットを与えていき、ルームシェアを普及させていこうという会社です。
他にも家具のリースやルームメイトのマッチングサービスなどもやっていきたいとは思っています。
今現在、提携している会社としては、住友林業さん、大和ハウスさん、それから、スカイコートさんというワンルームに強い会社があるんですが、そことも提携しています。今は首都圏で3000件くらいの物件は紹介できますね。
西嶋氏:モバキッズの西嶋です。モバイルのシステム開発やサイト制作などをやっています。会社は2007年の4月に私と取締役で立ち上げて、私がマネージメントや営業、取締役が技術統括をやっています。取締役の下に学生のエンジニアやデザイナーが7〜8人いる状態ですね。
私はもともと何で起業するかというより、起業したいという想いが先にあったんです。
私の地元は千葉県の木更津市なのですが、1999年から2003年の間、地価の下落率が関東圏で一番でした。バブルの頃にアクアラインが開通して地価が跳ね上がったものの、バブルが崩壊して駅前のショッピングセンターなどが全部つぶれてしまって、テレビなどでも“死んだ町”と紹介されたくらいの町なんです。
そんな状態を子供ながらに見ていて、寂しいと思いながらも自分が将来、何かの形で日本を元気にしたいと感じていました。その手段として起業というものがあったんです。会社自体が世の中に価値を創造していく、社会貢献の一番大きな形のような気がしていました。
太田氏:オーシャナイズの太田です。「タダコピ」というサービスを運営していて、大学の中にコピー機を設置し、コピー用紙の裏面に企業さまの広告を掲載するというものです。最初は2人で始めて、起業した時は5人、現在は15名くらいの会社になっています。
喜洋洋氏:ランゲートの喜洋洋です。僕たちの会社は「IT×国際」がテーマで、積極的に世界に出ていこうということを目標にしています。
僕は中国人で4歳の時から日本に住んでいるんですが、あまり中国語がしゃべれなかったので、大学の時に1年間休学して上海に留学したんです。上海はすごく活気があって、その時に新しい世界へ出ていく面白さを感じました。
帰国すると日本でも学生のベンチャーなどが活発になっていて、いろいろな集まりに参加していくうちに起業したいと思うようになり、2007年の6月に会社を設立しました。一緒にやっている取締役は大学を3カ月で辞めてカナダを自転車で横断するなどして世界一周をしてきた男で、僕も彼も海外志向なのでこれからどんどん世界へ出ていこうと思ってます。
具体的なサービスは相互添削型のSNSというもので、たとえば英語を勉強中の日本人が英語で日記を書き、日本語を勉強中のアメリカ人が日本語で日記を書き、それをお互いがネイティブの感覚で直してあげる、というものですね。日本語、英語だけでなく、いろんな言語でやっているんですが、かなり集客力はあるサービスだと思ってます。
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