米大手インターネットサービスプロバイダー(ISP)のEarthLinkは米国時間8月28日、従業員およそ900人をレイオフすると発表した。同社は、低迷する株価を押し上げるために組織再編を進めている。
EarthLinkは、この組織再編でフロリダ州オーランド、テネシー州ノックスビル、ペンシルバニア州ハリスバーグ、サンフランシスコでの事業を廃止し、全従業員のおよそ半数を失うことになる。また28日に発表されたプレスリリースによると、同社はカリフォルニア州パサディナとジョージア州アトランタにおける事業規模を大幅に縮小する計画だという。
この削減にかかる費用は6000万〜7000万ドルになると見られている。それでも、2007年中に2500万〜3500万ドルのコスト削減になる予定だという。
EarthLinkの新最高経営責任者(CEO)であるRolla Huff氏の声明によると、こうした削減は氷山の一角にすぎないという。
Huff氏は、「われわれはこれを、この会社が秘めているとわれわれが考えている潜在的価値を明らかにするための重要な第一歩と考えているが、EarthLinkを将来に向けて軌道修正するプロセスが開始してからまだ8週間しか経っていない」と述べ、さらに次のように続けた。「これらの改革により、われわれのコスト構造は適正規模になるが、まだ課題は山積している。われわれはこれから数週間、数カ月間に渡って作業を続け、さらなる追加措置を発表する予定だ」
現在、EarthLinkは、従来のISP事業からの赤字と、市営のWi-Fi、携帯電話事業を構築するための高額なコストとのバランスを取る手段を必死に模索している。今回、同社が大規模な組織再編に踏み切った背景にはこうした事情がある。
EarthLinkはこれまでに、アナハイム、フィラデルフィア、サンフランシスコといった複数の都市と、市全域でWi-Fiサービスを提供する契約を結んでいる。これらの契約では、電柱など市が所有するインフラをEarthLinkが使わせてもらう代わりに、同社がネットワークの構築、運用を担当することになっている。
しかし、これらのWi-Fiプロジェクトは、EarthLinkが期待していたほどスムーズには進んでいない。例えば、サンフランシスコとは、予定していた市全域をカバーするWi-Fiネットワークに関する契約交渉が依然として続いている。また、バージニア州アーリントンやフロリダ州セントピーターズバーグのプロジェクトは延期となりそうだ。
またブログサイトであるGigaOMは、EarthLinkのMuni Wi-Fi部門の責任者を務めるDon Berryman氏が3週間前に同社を退社したと報じた。この件についてはまだ確認を取っていないが、28日中にEarthLinkのCEOから話を聞く予定だ。
またEarthLinkは、韓国の携帯電話事業者SK Telecomと共同で設立した携帯電話関連の合弁会社Helioにも莫大な資金を投じている。仮想移動体サービス事業者(MVNO)であるHelioの設立資金として、EarthLinkとSK Telecomは計4億4000万ドルを出資したが、最近、両社はHelioにさらに5000万〜1億ドルを投入することで合意した。
その一方で、EarthLinkが従来から運営しているダイヤルアップインターネット事業の会員数は減少し続けている。いずれにせよ、EarthLinkは今後、大変厳しい選択を迫られることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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