新興株式市場の盟主である楽天の株価動向に関心が高まっている。
同社が発表した2007年12月期の6月中間期連結決算に対する市場関係者の評価は、強弱観が対立する中で、株価は波乱展開となっている。楽天は今後も新興市場相場のけん引役としての役割を果たすことができるのか。
楽天が21日発表した2007年12月期の6月中間期連結決算は、主力の電子商取引(EC)事業や旅行仲介事業が好調を維持したものの、証券など金融関連事業の低迷を背景に減収減益となった。売上高は989億円(前年同期比6.1%減)、営業利益は134億円(同30.2%減)。純利益も58億円(同18.3%減)にとどまった。
主力のEC事業では、利用者増や出店者数の拡大を受け、ネットショッピングサイト「楽天市場」と書籍販売サイトをあわせた流通総額が、前年同期比25.1%増の2495億円に達するなど好調に拡大。旅行仲介サイト「楽天トラベル」でも、米国での現地法人設立などを背景に利用者が伸び、流通総額は同24.5%増の1026億円に達した。
EC事業全体の中間期の売上高は、183億円(前年同期比33%増)、営業利益53億円(同44%増)となった。
しかし、証券事業は、株式の新興市場低迷や、昨年6月に実施した手数料の変更に伴う株式委託手数料収入の減少などで、売上高73.5億円(前年同期比38%減)に落ち込んだ。また、システム運用に関する契約の見直しで、特別損失も発生した。
同社会長兼社長の三木谷浩史氏は会見の席上、証券事業の今後について「商品のバリエーション拡大や、システムに関する大幅な見直しなどにより収益力の改善を図る」とした。
また、懸案となっているTBS株式の保有問題について国重惇史副社長は「21%程度にまで買い増す方針は変わらない」と述べた。
この決算内容についてメリルリンチ日本証券は、投資判断「買い」を継続し、レポートで「買い安心感が強まった」と指摘しながらも、目標株価7万円の達成には、TBS問題の決着などさらなる材料が必要としている。
一方で新光証券のレポートでは「現状では成長率を上昇させるドライバーが不在である」として、投資判断では「2マイナス(5段階の4番目)」を継続している。
21日の決算発表を受けた22日の楽天の株価終値は、前日比2150円高の3万6600円、翌23日は前日比4000円(ストップ)高の4万600円と連日の大幅高となった。そして、週末24日は、急速な戻りの反動もあり2300円安の3万8300円と下落した。
楽天の今後の展開について市場関係者は「6月中間期の決算の減収減益は、多くの市場関係者にとっては予想の範囲内で、“マイナス材料出尽くし”の思惑から買いが先行しているようだ。ただ、楽天の株価は、今後の収益にも増してTBSの持ち株の行方によって大きく左右される可能性が高い。TBS問題の解決のメドが立たない限り本格的な株価の上昇は見込めそうもない」としている。
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