1ガロンあたり100マイル(リッターあたり約42km)の燃費を実現する車を発明し、その車で全米横断レースに優勝したチームを表彰するというX Prize Foundationの発表を聞いた筆者は最初、「だから何?」としか思えなかった。
ThinkやTesla Motorsなどの電気自動車は、これよりも数字的に勝るし、DaimlerChryslerが2012年〜2105年にリリースするという水素自動車もこれ以上の性能を満たしている。家庭用電源から充電できるハイブリッド車だって1ガロンで100マイルの燃費を実現する。
モーターホーム「Winnebago」だって、リチウムイオンバッテリをたくさん乗せれば優勝を狙えるかもしれない(このような方法を採用すると、ファミリーレストランの駐車場にある減速バンプを逆方向から乗り越えるだけで車が爆発してしまうかもしれないが。ただ、そうなればRV車の愛好家たちが追悼の記念碑を作ってくれるだろう)。
これに対し、「Automotive X Prize」のシニアディレクターJohn Shore氏は、ルールはこのように単純なものではないと述べる。1000万ドルを超えると見られうる賞金を手にするのは、2011年に一般の人が購入したいと思い、かつ実際に購入できるような車だという。
全米横断時に必要な水素供給ステーションが2011年時点では全米に普及していないであろうことから、水素自動車は応募基準を満たしていないと同氏は述べる。バッテリをたくさん積んだWinnebagoも一般の人が運転したがるとは思えない。2007年中に出荷が予定されている「Tesla Roadster」も、9万8000ドルではおそらく高すぎて出場できない。
では、予選を突破できるのはどういう車なのか?オール電気のSUVを製造するPhoenix Motorcarsなどの企業がこれに該当する。中価格帯のセダンを投入するThink、Tesla、Zapも参加可能だ。ただし、この価格帯の車の大半は1回の充電で200マイルも走行できないため、バッテリ駆動時間の延長が重要な技術課題となっている。
賞金は、小さな会社が注目を集め、商品化を進めるうえで大いに役立つと思われる(が、新車を市場に投入するには足りないだろう)。
X Prize Foundationはこれまで宇宙飛行用の乗り物を対象にしたコンテストを開催してきた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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