たなごころにアソビゴコロ GAME BOY micro

任天堂
OXY-001
内容:ゲーム業界最大のセレブことマリオ氏のデビューから20年を迎える明日(2005年9月13日)、ついにGAME BOY microが発売される。コントローラーサイズの、小さくスタイリッシュなボディには、任天堂の一貫したゲーム哲学が息づいていた。

絵になるボディ。セクシーかつコケティッシュ (クリックすると拡大できます

 ゲーム市場での次世代政権争いは留まることを知らず、日に日に勢いを増している。巨人2社はテクノロジの更なる前進をコンセプトとして打ち出しているが、もう一人の巨人である任天堂は、技術の進歩よりも、ゲーム性そのものの向上を軸にした戦略をとっているようだ。触ったのは実質2日間ほどだったが、GAME BOY micro(以下micro)は、小さくスタイリッシュなボディに、ゲームを楽しむに必要最低限の要素だけを詰め込んだ、とても潔いハードという印象を受けた。


意外なほど良好なホールド感

意外なほど良好なホールド感 (クリックすると拡大できます

 唐突な私事で大変恐縮だが、私は姿勢の悪さに起因する偏頭痛持ちである。怒り肩、猫背、体育座りというゲーマーのベーシックスタイルで居続ければ体内の血流が鈍ることは必然で、3時間後に待っているのは「あたまがいたいです……」の泣き言だ。だからmicroの初印象は「こりゃあ肩が凝りそうだなあ」であった。だって、そうではないか。子供ならいざ知らず、肩幅の広い大人が、あの小さなハードを両手で支えるとなると、必然的に両肩がすぼまり、気の弱いリクガメのようなプレイスタイルになることは容易に想像がつく。今回のレビューに際し、発売前に触れるのは嬉しいけど、せっかくの週末を頭痛で過ごすのはいやだなあと、愛憎半ばで恐る恐る触ってみたのだが、これが意外なほど楽だった。右と左のボタンの間に収められた2インチの液晶ディスプレイが程よいマージンとなっており、兄貴筋にあたるSPよりもリラックスした姿勢でゲームが楽しめる(SPは操作系が中央に集中している)。本体重量の80g(カートリッジ装着時は約90g)もホールド感を生むのにちょうどいい重さだと感じた。

ホールド感比較: >  > 

「軽すぎる」キータッチ

なんだかんだ書いてますが、問題なく無限増殖できました (クリックすると拡大できます

 microのキータッチは及第点といった印象。ボタンを押しこんだ時の跳ね返り=リアクションが軽いため、上を押しているのか斜めに入っているのか、左手の親指が自信を持ってくれないのだ。もちろん楽しさを削がれるほどひどいわけではなく、プレイに支障がでることはないが、初代GAME BOY ADVANCE(以下ADVANCE)やGAME BOY ADVANCE SP(以下SP)の絶妙なクリック感にはかなわない。任天堂のコントローラーは代々傑作ぞろいだっただけに、この点は残念だ。

キータッチ比較: >  > 

20年目の真実、マリオはかくのごとき麗人であった

 microの液晶ディスプレイは優秀だ。輝度(明るさ)が高いため、ADVANCEやSPよりも、はるかに発色がよい。ピッチも細かく、microを見た後だと、ADVANCEやSPの表示がぼやけて見えるほどだ。また、特に初代では、速いキャラの動きで描画がもたついて残像が見受けられる場合があったが、microの液晶の応答性は優秀で、描画のもたつきは見られなかった。これだけの輝度を保ちながら連続で最高10時間近く遊ぶことができる。フル充電は2.5時間ほどで、実用的なレベルに達していると言えよう。

左からADVANCE、SP、micro。見やすさではmicroがダントツである。

見やすさ比較: >  > 

microはADVANCEシリーズの一角ではない?

 かわいくかっこいいmicroをすっかり気に入って遊んでいた私だったが、不満点もある。最大の不満点は互換性のなさだ。まず対応しているのがADVANCE用カートリッジだけという点。16年に及ぶGAME BOYシリーズの遺産で遊べないのは非常に残念。また、ADVANCE用の周辺機器のほとんどすべてが使用できない点も不満だ。例えば対戦するには、micro専用の対戦ケーブルを新たに購入する必要がある。この互換性の問題については不満たらたらなのだが、よくよくマシンを見つめていると、そのどこにも「ADVANCE」のミドルネームが入っていないことに気付く。このことから察するに、microはADVANCEシリーズの後継機というよりも、別のマトリクスに属する新鋭GAME BOYであると考えられる。

互換性: >  > 

娯楽のアフォーダンス

 最近ではiPodが代表例だと思うが、いいガジェットというのは、それを所有するユーザーの気持ちまでも楽しくしてくれる。microもそうだ。  無駄のないデザイン、適度な重み、しっくりくるホールド感などが所有者の知覚にもたらすリラクゼーション効果はけっこうなもので、机のどこかに佇むmicroが視界にあるだけで、ちょっとした嬉しさのようなものがこみあげてくる。ファミコン世代特有の感傷か、とも思ったが、しばらく眺めてるうちに、それは正確ではないと思い始めた。microの魅力とは、てのひらに収まる可愛らしいサイズと、そんな小ささで限りない遊びが楽しめるというワクワク感を引き出してくれるところにあると思う。  手持ち無沙汰なときに、手のひらでmicroを転がすだけでも気持ちよくなれたりする。娯楽のアフォーダンス。手のひらに遊び心。そう思ったとき、13日の行列に加わる猫背の自分が見えた気がした。

セックスアピール比較: >  > 

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]