これはイイ!ガジェッター御手洗大祐の自腹レビュー 第2回:「ThinkPad X41 Tablet」を体感する(前編)

IBM
内容:第2回は、ThinkPad X41 Tabletをレビューしてみたいと思います。ビジネスユーザーの支持が高いThinkPadブランドのTablet PCが出ると聞き、早速購入してしまったのでした。しかし、人気が高く約1カ月待ち。ようやく届いたThinkPad X41 Tabletはいかに──?

「ThinkPad X41 Tablet」を買ったワケ

 かつて“Alto”というMacintoshの誕生に影響を与えたPCを作り、“パーソナルコンピューターのエラい人”とも言うべき、元XEROX パロアルト研究所の研究者、アラン・ケイが作ったPC のコンセプトモデルである“ダイナブック”は、ペンインターフェースを持っていました。しかし、ペン入力インターフェースがPCにおいて一般化することは、この20年程ありませんでした。

 恐らくPCを使う多くの人が「紙にペンでスラスラーっと書いたものを、そのまま移動させてデータベース化したりとか、他のデータと組み合わせたりできれば非常に便利だろうなぁ」と思っていたことでしょう。これまで実現が難しかった“使えるペン入力型のノートPC”ですが、マイクロソフトが周囲からあまり期待されずに2000年のCOMDEXで発表したTablet PCも、さまざまなハード・ソフト面の技術向上により、かなり現実的に利用できるものになって来た感があります。

 PDAの世界でも実用的な利用法が模索されていたこのペン入力ですが、PDAとは比べものにならない広い画面でペン入力ができ、しかも手書き文字認識の精度もかなり高まったこのTablet PCに興味を惹かれたのは、こちらでもいろいろと記事を書いていただいていた道具眼の古田さんに、2003年末ぐらいに以前ヒューレット・パッカード社製の Tablet PCを見せていただいた時からです。会議の際に、作った資料に皆で直接ペンで書き込みながらワイワイガヤガヤやると、生産性が上がりそうだ、と思ったのでした。

 とはいえ、当時は結構値の張る商品だったのと、スペック的に納得のいくものがなかったことから、「こりゃーしばらく待たないとダメか」と思って1年を過ごしていましたが、2005年の春になんとビジネスユーザーの支持が高いThinkPadブランドのTablet PCが出ると聞き、早速購入してしまったのでした。今回は、まずハード面の魅力を中心にレビューをお届けし、好評であれば次回はTablet PCとしての特徴を活かすさまざまなソフトについてその使用感をレビューしたいと思います。

Tablet PCとしての利点と気になるところ

 Tablet PCには大きく分けて2種類が存在し、キーボードとタブレットが並存するコンバーチブル型と、キーボードがなく、純粋に紙に書くように使用するピュアタブレット型があります。実はTablet PCを購入しようと思ったとき、会議での使用を想定していたこともあり、比較的に軽いピュアタブレット型を購入しようとしていたのですが、サイズと重さ的にも妥協できそうなこと、さらに自身の中核PCとしての要素も出てきたこともあり、結果的にはコンバーチブル型(ThinkPad X41 Tabletもコレ)を選択することになりました。

 コンバーチブル型で真っ先に心配されるのが、タブレットにしたり普通のPCとして利用したりする際に回転して負荷のかかる画面とキーボード部の接合部ですが、堅牢性に関しては比較的に印象の良いThinkPadだったからこそ、この選択ができたとも言えます。

 しかもこの堅牢性云々という部分については、メーカー自身がしっかりと対策をしている旨をアピールしていることもあり(特にヒンジ部分を含めた専用の品質テストをやっているとのこと)、かなり安心ができました。レノボのサイトでは開発者インタビューが掲載されていますが、このインタビューを読んでいても接合部の配線には苦労された旨があり、かなり好感が持てます。

画面とキーボード部の接合部もしっかりしている (クリックすると拡大できます

 実際に購入して真っ先に蓋を開け、このヒンジ部分を回転させた際にもしっかりとホールドがありつつ、滑らかに回転するあたり、かなり好感が持てました。経年変化に関してはまだなんとも言えませんが、現状ではあまり弱い印象はありません。

 蓋と言えば、画面を閉じた際に本体にカチッと引っ掛けるラッチにもかなり工夫がされています。通常のノートPCだとここが固定になっていて、片面を閉じることだけ想定しておけばいいわけですが、ノートPCの場合だと、本体に閉じる際にも液晶面がリバーシブルなため、このラッチ部分が邪魔になるのではないのかなぁ、と思っていたわけですが、液晶面を表にしてタブレット型にした際には、このラッチを逆サイドに押し込んで使えるようになっており、細かい配慮を感じます。

ラッチにもかなり工夫がされている (クリックすると拡大できます

タブレットとして使うときには、逆サイドに押し込む (クリックすると拡大できます

選択ボタンや指紋認証リーダーが配置されている (クリックすると拡大できます

どちらからも指紋認証が可能 (クリックすると拡大できます

 さらに、液晶面にはタブレット型にした際にもボタン操作ができるように、上下選択ボタンや決定/ESCボタン等が配置されています。また液晶面には表示の回転ボタンもあり、ノートのように画面を縦長に利用するだけではなく、タブレット型にしても普通のノートPCのように横長に画面を置いて使えるようになっています。

 さらにもう1つのポイントは、最近のThinkPadシリーズに搭載され始めた指紋認証でしょう。予め登録しておけば、Windowsのログオンもこれでできます。Windowsのログオンの際には指紋認証登録がしてあっても、ログオン時にキー入力が選択できるようにもなっているので、不意のトラブルにも問題ない設計となっています。しかもタブレット時、PC時両方でも使いやすいように、上下(タブレット時)/左右(PC時)のどちらからでも認証ができるようになっているのも便利です。

 その他の外部インターフェースに関しても、別売りでドックが用意されているにも関わらず、本体側でかなり充実したものが用意されています。ギガビットイーサネットアダプタに始まり、802.11b/gのワイヤレスLAN、RJ-11(モデム)、USBインターフェースが2つ、外部モニター接続用コネクタと、ヘッドフォン・マイクロフォンジャック、PCMCIAアダプタと、単体でも十分問題なく使用が可能です。

 電源を入れて、普通のPCのようにキーボードを使って操作していても、Tablet PCだからという違和感はまったくありません。スペースの関係上、最近のThinkPad(Tシリーズ/Rシリーズ)のようにポインティングデバイスにトラックパッドとトラックポイントの双方を搭載していません。トラックポイントのみですが、元々トラックパッドが苦手な私にはまったく問題ありませんでした。しかし、最近のノートPCでは多く採用されているトラックパッドでの操作に慣れた方だと若干困るかもしれません。

 ノートPCとして利用していても、Tablet PCとしての利点を享受することができるのもポイントの1つです。キー操作時でも入力ペンは使えるため、プレゼン資料など文書の作成時にもペンでそのまま書き込みができます。この辺はコンバーチブル型の大きなメリットと言えるでしょう。

 さらに液晶を回転させ、タブレット型として使用すると、よりペン中心の操作体系になります。バッテリーを含む本体重量はB5サイズにも関わらず2kg弱ということもあり、重さを感じますが、手でホールドして耐えられない重さでもありません。タブレットが感圧式でなく、電磁誘導式であることもあり、専用ペンでないと利用できないこと、また画面に触れなくても、ペンを画面に近づけるだけでカーソルが動いてしまうという、ちょっと気持ちの悪い点もありますが、全般的に快適な使用感を損なうものではなく、自然なペン操作を体験することができます。

 と、まあハード的には Editor's Reviewと同じく、総合的に見てかなり不満のないレベルに達している ThinkPad X41 Tabletだと言えます。欲を言えば、もう一段画面サイズが大きければ、というところですが、この辺は比較的改善しやすい部分だと思うので、今後のリリースの中でさらに大きい画面サイズのPCが出てくることを期待したいです。

 これまで広い画面サイズのPCで仕事していた人には苦痛かもしれませんが(私も以前の機種がSXGA+だったので、この部分にだけストレスを感じつつ使っているところです)、その他に関してはまったくと言っていいほど不満のない状況です。IBM大和研究所のスタッフの方々の心意気を感じるこのTablet PCに、5段階評価で言えば“是非買うべし”に該当する“5”を付けたいところです。

 次回はTablet PCの実際の利用シーン、特に付属する Windows Journalを利用しての仕事の様子や、Officeソフトとの相性の良さ、またTablet PC でより快適に利用できるのではないかと以前から思っていた、OneNoteの使用状況について詳しく書いていきたいと思います。

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