2004年末に発表されたIBMのパーソナルコンピュータ部門の売却ニュースは、多くのIBM PCファンに衝撃を与えたことだろう。中国最大手のPCメーカーであるレノボ・グループとなり、2005年4月にレノボ・ジャパンとしてスタートした同社の注目すべき初の製品は、タブレット機能を搭載したThinkPadだった。
これまでのThinkPadと同様に、大和事業所(神奈川県大和市)を中心に開発されたもの。コンセプトはもちろん、品質もこれまでと変わらないことを強調するレノボだが、実際のところはどうなのか。
ThinkPad X41 Tabletは、黒で統一されたデザインやThinkPad本体表面にあるIBMロゴもこれまでどおりだ。開いてみると、ThinkPadユーザーにはおなじみの、さまざまな機能メニューを呼び出せる「Access IBM」ボタンなども健在だ。180度回転できる液晶パネルは、90度ずつ切り替えられるが、回してみるとガタつくことなく安定してスムーズに進む。キーボードやトラック・ポイント、セキュリティー・チップ、堅牢性などの基本機能もこれまでのモバイルノートPC「Think Pad X41」と変わらない。本体の傾きなど異常を察知するとHDDの動きを停止し、衝撃によるダメージを防止してくれる「ハードディスク・アクティブプロテクション」も搭載されている。
本体は、ThinkPad X41と比べ、サイズは気持ち大きめで、奥行きは3cm程度広くなる。重さは、約400g増えて1.87kg(ペンを含まず/標準の大容量バッテリーの場合)。決して軽いとは言えないが、抱えてタブレット・モードとして使用してみても、重さのバランスが安定している。また、数時間連続で使用しても熱くなりすぎることはなく、レノボが苦心したと話す放熱の技術もさすがだと感じた。とはいえ、約2kgを長時間腕で支えるのは正直厳しいもの。机の上で作業するなど少しでも支えがあると負荷を感じず、快適に使用できた。
|
|
||
|
|
||
|
|
||
|
|
OSは、タブレットPC専用の「Microsoft Windows XP Tablet PC Edition 2005」が搭載されている。基本的な操作は通常のWindows XPとまったく変わらないが、タブレット機能を使用したいときには専用の「電磁誘導式デジタイザー・ペン」で操作する。
ペンで画面をクリックすると、マウスの操作でいうシングルクリック/ダブルクリックが行えるほか、ペンで画面の一定箇所を一定時間押し続けて離す(プレスアンドホールド)することで右クリックが行えるなど、ペンでもマウスと同等の機能を使える。多少の慣れは必要だが、タブレット機能を使いこなすにはぜひマスターしたいところだ。
Windows CE機のような感圧式とは異なり、単に手でディスプレイを触ってもなにもアクションは起こらない。誤動作がしにくいという意味では非常に便利だが、専用のペンをなくすと、タブレットとしての機能が使えないので、イザというときのために予備のペンを1〜2本は用意しておきたい。
また、Tablet PC Edition 2005には、紙とペンでメモを取るように、電子的にメモを取ることができるアクセサリソフト「Windows Journal」や、手書きやキー入力したメモ、それらの情報検索が行えたり、EXCELなどのOffice製品などと連携に便利な高機能ソフト「Office OneNote」などが搭載されている。
これらはタブレット機能を快適に使う上でなくてはならないもので、中でも「Office OneNote」は、書いた手書きの文字も検索できる優れモノだ。
手書きの文字なら、力強さや弱さなど、PC上のフォントではいまひとつ表現しきれないものも伝えやすい。手書きの表現だけでなく、PCが得意とするきちんとしたラインを手軽にコラボレーションできるタブレットPCなら、おなじみのプレゼンテーションソフト「Power Point」で作ったプレゼンテーションもひと味違ったものになるに違いない。
紙に書いた文字は切り貼りしにくいことが多いもの。たとえば、私などは仕事柄、ラフ(レイアウトやコピーなどの素案)を書くことが多いが、同じ絵をいくつも描いたり、一部のレイアウト修正のために一から書き直したりすることもある。データ上では、切り貼りやコピーなどもラクに行えるため、仕事の効率アップにもつなげられそうだ。
|
|
||
|
|
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
トラディショナルからモダンへ進化するBI
未来への挑戦の成功はデータとともにある
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス