モノクロ液晶iPodが製品のラインアップから消え、20GB、60GBのカラー液晶のみとなり、名称もiPodに統一された今回のマイナーバージョンアップ。20GBと60GBの容量の差は大きく、その間の40GBモデルがなぜ今回外れたのか、アップルの製品展開を考えるのもMacユーザーの密かな楽しみであったりする。
iPodが発売になって4年半。初のiPodは5GBモデルのみだったが、現在では容量も機種も増えた。そしてカラー表示がスタンダード化した今回のiPod。それまで容量が、値段がと何かといい訳をつけて、購入欲を抑えつけていたが、今回の新製品でついに購入欲が理性に圧勝し、気が付くと購入している自分がいた。
正直、20GBモデルと60GBモデルの容量差を考えると、60GBモデルに惹かれた。パソコンに入っている音楽ファイルは増殖をし続け、20GB近くになっている。このファイルを整理することができれば、どれだけHDDに空き容量を増やすことができるだろうと考えた。さすがに20GBともなるとHDDへの負担は大きい。はじめ、iPodを購入するとHDDの容量を増やすことができると考えていた(これは後で、大きな勘違いであることに気が付く:極私的一週間使い倒してみたiPod記参照)。
容量3倍、価格は1.5倍という感覚は購入者によって異なるだろうが、筆者は20GBモデルを選択した。やはり、以前のモノクロiPodとほぼ同価格でカラー表示ができるというコストパフォーマンスが選択の決め手となった。
iPodをMacと接続し、iTunesと同期させることによって自動的にジャケットの画像もiPodに送り込まれていく。曲を再生中にジャッケトが表示されると、意外に感動的なものだ。こんなジャケットだったなというような思いと、その時の思い出が蘇るとまでいうと大げさだが、カラーで表示されるジャケットは悪くない。
20GBモデルは、以前のモノクロiPod20GBモデルよりも若干厚みが増している。iPodPhotoの30GBとまったく同じサイズだ。この厚みの問題はさほど気になるものではないだろう。
カラー化によってiPodは、従来のミュージックプレイヤーだけではない側面を持ち合わせた。カラー液晶は思いのほか見やすく、ジャケットや写真のカラー表示も楽しめる。また、第3世代以降のiPodから対応しているが、テキストの文字も細かいながらも「メモ」機能できちんと読める。
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青空文庫から文庫本をダウンロードして持ち歩くのも楽しい。なお、iPodでは、表示できるテキストの容量が4KBという制限があるため、大きなファイルは手動で分割をし、メモに取り込む必要がある。iPodをテキストリーダーとして拡張できるシェアウェア「TransNotes for iPod」などを利用すると、標準テキストファイルやメールなどをiPodに取り込んで音楽を聴きながら読むことができる。Windows用にもフリーウェア「TextMemo for iPod」などがある。
「TransNotes for iPod」は、設定をすることで、未読メールでも自動的にiPodに取り込んでくれる。
さらにiPodをディスクとして使用する設定にすることによって、さまざまなデータのバックアップとして使うことができる。使用感は外付けHDDと変わりはない。もちろんデジカメなどの写真の取り込みはiPhotoを使用することによって、スムーズに作業を行うことができる。
iPodをあれこれ試用している間に、アップルは、最大規模の有料音楽配信サービス「iTunes Music Store(iTMS)」を日本でも開始した。約100万曲を1曲150円もしくは200円という料金で購入できる。ただし、アルバムで購入すると1,500円〜。これまでと比較して、この価格は画期的ではあるものの、レンタルCDが発達している日本では少し厳しい気もする。とはいえ、気に入った1曲だけを購入できるというスタイルは実に快適だ。例えば、お気に入りのアーティストが参加しているオムニバスアルバムや、サウンドトラックなどアルバムを買うのはちょっとなと二の足を踏んでいたが、iTMSではその1曲のみが購入できる。これは便利だと実感した。
また、iTunes4.9から登場した、ポッドキャスティングは、iPod文化と呼べるものを予感させるものだ。ポッドキャスティングは、ラジオ放送をダウンロードするだけなんでしょう、などと考えているとしたら、それは大間違いだ。単に流れ続けているラジオと決定的に違うのは、世界中にポッドキャスティングの番組があり、それもジャンルが事細かに分かれている。国内であっても音楽ばかりではない。経済情報から語学学習まで、それをiTunesは自動的にアップデートしてiPodに転送してくれる。ユーザーは、必要な情報だけをピックアップし、好きなときに聞くことができるのだ。
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