メジャー企業がここまでモバイルに注目し、力を入れて取り組む理由はどこにあるのだろうか。
全日空の幸重氏は、「飛行機に乗る人は30〜40代のビジネスマンが中心で、携帯電話はPCの補完ツールとして使われている」と述べた。ビジネスマンはオフィスでPCを使って予約することが圧倒的に多く、携帯電話は搭乗の前日・当日、そして旅先での利用が主流だ。
「ただ、2008〜2009年には、携帯電話が子どものころから身近にあった層が社会人になりはじめる、新しいビジネスが生まれるはずです」(幸重氏) 。現代の若者にとっては、携帯電話はPCの補完ツール以上の存在になるという考えだ。
コカ・コーラの江端氏は、最近になってテレビCMがユーザーに効かない場合があると感じ、携帯電話が有効という認識がますます深まってきたという。ただし、幅広いアテンションを取るのには携帯電話は不向きだとも話す。「テレビやポータルサイトで広告を出した後、ユーザーにアクションを促すには、携帯電話が向いていると思います」(江端氏)
また、モバイルで朝、昼、夜に分けて別の広告を掲載する手法は、タイミングよく購買などのアクションに結びつけやすい。「モバイル広告が目指すべきはブランディングではなく、ダイレクトレスポンスを促す手法だ」と江端氏は続けた。
次に、Flashに対してどうとらえているのかを聞いた。ユーザーへの訴求力を高めるという意味で、最近では多くの企業がFlashを使ったサイトを構築しているが、これに対しては賛否両論の声が挙がっている。
全日空では無形商品を扱っているので、ビジュアルにFlashを使うのは有効だと考えている。機内の予約座席を地図で見せることで理解も深まるという。
一方、江端氏は、「リッチよりリーチ」という考えをもっているという。表現をリッチにしてブランド訴求を高めることには効果があるが、「目的によって表現の手法を変えていくべきだ」と江端氏は強調した。
ディスカッションの最後の質問として、今後10年先に向けたビジョンを両社に尋ねた。
全日空の幸重氏は、PCの補完と考えていたものから、携帯電話ならではのサービスへ拡大していくと新たな展開の構想を語った。
「これまで航空会社がやってきたものは、ほぼ携帯電話でカバーできたので、そうではない新しいサービスを追求していきます」(幸重氏)
コカ・コーラの江端氏は、差別化という意味でネットワーク自販機を拡大したいと述べた。実際に携帯電話に広告を配信し、携帯電話で決済して商品を買うという、広告と購買行動が直結しているモデルを仕立てていくことが今後の課題だという。
「たとえば自販機では缶コーヒーが非常によく売れているので、M2(35〜50歳男性)層に買ってもらえるような仕掛けを確立していきたいです」(江端氏)
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