自己採点は60点? Hatena Inc.が過ごしたシリコンバレーでの1年間

鳴海淳義(編集部)2007年07月27日 06時00分
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 はてなが米国シリコンバレーに100%子会社、Hatena Inc.を設立してから約1年。先日、ついにHatena Inc.発の新サービス「はてなスター」と「はてなメッセージ」がリリースされた。

 さらに8月にも新サービス「はてなワールド」の公開を控えている。

 シリコンバレーでの試行錯誤が形になりつつあるなか、はてなの代表取締役であり、Hatena Inc.代表の近藤淳也氏に、この1年間に起きた変化、海外での活動状況、そしてこれからの1年間の展望を聞いた。

--改めてお聞きしたいのですが、そもそもアメリカにHatena Inc.を設立した目的は何だったのですか。

 最初は3つくらいあったのかな。えーっと何でしたっけ(笑)。順番があった気がするんですけど。グローバルなサービスを作って展開することと、現地のエンジニアとかシリコンバレーの人的な関係構築みたいなこと。あと既存のビジネスパートナーとしてもGoogleさんとか大きかったので、そこのUS資本との関係強化みたいな話と3つあったんですけど、ほとんどやってたことは新サービスの開発ですね。

 結局、向こうで立ち上がらないことには、ネットワーキングするにも話す内容がないという感じだったので。実質は新サービスを立ち上げることに専念していました。

--サービス開発はいつから始められてたのですか。

070725_hatena1.jpg近藤淳也氏

 広い意味で言えば渡ってすぐから始めていましたね。コンセプトを考えるのも含めて時間を取っていたつもりなんですけど、もう少し早く出したかったんですよ。

 遅くとも1年以内、本当は半年くらいでと思ってたのが、最近の流れというものをちゃんとキャッチアップというか、一回落ち着いて整理しようとしていて、いろいろ考えながら作り始めました。思いのほか時間かかっちゃったなぁというのはありますね。

--この1年の米国での活動に点数をつけるとしたら何点ですか。

 点数ですか、おもしろいですね(笑)。60点くらいですね。内訳は、必死でがむしゃらにやっていたというか、自分なりに努力をした点では、それなりにやってたと思うんですけど。一方でその成果はまだ何もないですし、特にアメリカへの働きかけというか、アメリカにいたからこそできたことは、ほとんどないと思うので。

 もちろん、(社外取締役の)リッチーの獲得や、現地での体制を整えつつあるというところでの進展というのはありますが、実質ビジネス的な展開というのはまだまだこれからなので、そういうことも含めてマイナス40点くらいかなという気がします。

--シリコンバレーという環境は近藤さんにどのような影響を与えましたか。

 アメリカならではということと、案外東京を離れればどこでもよかったという要素。両方あると思うんですよ。まあ東京を離れればっていうのは、今のはてなサービスがどういう位置づけにあるのだろうかとか、これからインターネットがどういう方向に行くのかとか、そういうことをある程度俯瞰して見れたことがすごく大きいし、あとは東京にいたときはすごく忙しかったので、クリエイター的な作業に集中できる環境としての「東京じゃない場所」っていう意味は大きかったと思いますね。

 アメリカならではという話は、他の場所にも行ってみないとわからないんですけど、プラスには働いてると思うんですよ。それはやっぱり普通にシリコンバレーの新聞読んでたら、「マウンテンビュー市のGoogleが…」って書いてあるんですよね。YouTubeが買われたっていう話だって、「サンマテオのYouTubeがマウンテンビューのGoogleに買われました」って朝刊に書いてあるんです。

 そしたら近所のお兄ちゃんたちが楽しそうなことやってるみたいな雰囲気で、別にああいう大きな会社じゃなくてもスタートアップのベンチャーなんかもそういったメディアに出てくる。そういう人たちとの距離感っていうのは全然違いますよね。見てると自分でもできるんじゃないかとか、やってみたいっていう気持ちはすごくリアルに持つことができて、そういう心理的な面はすごく大きい。

 ただ、客観的に自分の行動をビジネス的に見たときに、どれだけ周りとコンタクトを増やしていくことに活かしていくかは、これからかなという感じはします。

--いま、アメリカの体制はどうなってるんですか。

 3人常駐しています。僕ともう一人エンジニアがいて、あとは僕の妻がいて、基本は3人なんですよ。あとはたまに日本から出張で人が来ることもあります。取締役会は梅田(望夫)さん交えてUSでやっているので、取締役は半年に1回から3カ月に1回くらいの頻度で来てます。僕も平均すると3カ月に1回くらい日本に帰ってきてます。

 梅田さんとは僕がアメリカに行ってからは相当密にお会いしています。別に出社してきて何かをするというわけではないんですけど、折に触れていろいろ構想などを語り合ったりとか、ブレストみたいなことをやったりだとか、梅田さんの話を聞かせていただいたりとか、けっこうな頻度で会ってます。

 リッチーは子供が産まれて、そちらに時間を使いたいということでGoogleを退職しているので、毎日会社に来るとか、業務をやってもらうってことのはないので、今はアドバイザリー的にたまに取締役で集まったりとか、ちょっと意見聞きたいときに来てもらったりしてますね。

--シリコンバレーでは、近藤さんの普段の1日のタイムスケジュールはどうなってるんですか。

070725_hatena2.jpg

 どんな生活をしてるのかってことですよね(笑)。だいたい5時か6時くらいに起きて、パソコンつけますよね。

 パソコンをポチっとつけて散歩に行くようにしてるんですけど、ちょっと頭を整理するために町内を一周して帰ってくる。

 それで8時か9時くらいまで日本側の仕事というか、キャッチアップと指示を出すみたいなことをやるんですよ。

 朝の6時だと日本は夜の10時なので、だいたいみんなの業務が終わって1日分の業務内容がたまっている。それをまず、ばーっと読んで僕が判断したり、答えなくちゃいけないことをメールします。だいたい2、3時間かかっちゃう。

 それでようやく朝ご飯を食べてそこからオフィスに出勤します。10時か11時くらいから、今度は日本が起き出すのが夕方の5時くらいなので、それまでがサービスを作る時間。日本は完全に深夜なので本当に何にも割り込みがないので、やっぱり集中できるんですよね。それで5時以降に日本とのミーティングが始まって7時か8時みたいな感じのパターンですかね。

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