iPhoneでLinuxを実行することはできないが、Intelがモバイルデバイス用Linuxの改良に取り組んでいる。
Intelは米国時間7月16日、新規プロジェクトから既存プロジェクトまで、Linuxカーネルやオープンソースコンポーネントの改善に取り組む多数の社内プロジェクトを統合した「Mobile and Internet Linux Project」のウェブサイトを立ち上げた。さらに同社のLinuxおよびオープンソース担当チーフテクノロジストDirk Hohndel氏によると、「十数人以上」のプログラマを採用しコーディング業務に当たらせるという。
プロジェクトの取り組みには、電力管理、ユーザーインターフェース、ワイヤレスネットワークの利用、ウェブブラウジング、チャット、そして、もっとも困難な課題の1つであるモバイルデバイス向けソフトウェアの開発などがある。Intelはプログラミングに関して外部からの支援を希望しており、Linux企業2社と契約を交わしている。Ubuntuを支援するCanonicalと中国のRed Flag Linuxである。
Hohndel氏は「3年以内に製品化されるだろう多くの事柄に関連した技術の育成だと捉えている」と述べた。同氏はプロジェクトの規模についてコメントしなかったが「内部的な資金調達の状況から、経営陣のトップは、この取り組みを真剣に受け止めるようになってきていることがわかる」とした。
Intelが数年間の時間的余裕を設定したのはよいことなのだろう。多数の企業がLinuxベースのネットガジェット開発に長年取り組んでいるが、大きな成果を挙げた例はほとんどない。既存の取り組みには、Nokiaの「770」と後継の「N800」、AOLとGatewayのウェブアプライアンス、Palmの「Foleo」などがあるが、これまでのところ反応は冷ややかである。
Intelは、プロセッサの販売増加を目指し、業界の活性化に大いに取り組んでいる。しかし、ポータブルデバイスによるウェブ閲覧の市場が存在することを確かに証明したのは「BlackBerry」「Treo」「iPhone」などのデバイスだった。Intelによる市場へのハードウェア売り込みに向けた既存の取り組みには「Mobile Internet Device」プロジェクトなどがある。
プログラミングツールの改善が、Mobile and Internet Linux Projectの主眼の1つになる。開発者は、通常のPCでソフトウェアのコーディングやデバッグを行ってから、実機やプロトタイプに転送してテストを続けることが多い。
Hohndel氏は「モバイルデバイスにおけるソフトウェアスタックの構築は、もっとも困難な課題の1つだ。開発を容易にするための大きな一歩になると考えている」と述べた。
Intelはソースコードやメーリングリストなどのツールをホスティングするが、ソフトウェアの総合パッケージであるLinux「ディストリビューション」のプロデュースは行わない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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