WiMAX 可能性検討 NTT新社長・三浦惺氏に聞く

FujiSankei Business i.2007年07月03日 11時58分

 NTT社長に6月28日付で就任した三浦惺氏は2日、フジサンケイビジネスアイの取材に応じ、総務省が9月をメドに通信事業者2社への免許割当を予定している次世代高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」について、「(提携を含め)いろいろな可能性を検討している」と述べ、NTTドコモやNTT東西地域会社が他社との提携戦略も視野に検討を進めていることを明らかにした。(今井裕治)

 −−国内通信市場の頭打ち状態が続く中、中長期の成長戦略が見えにくいとの指摘がある

 「当社は3期連続の減益が続いている。まず、この流れに歯止めをかけ、成長戦略を上向きにもっていくことが重要だ」

 −−具体的には

三浦惺氏 みうら・さとし 東大法卒。67年日本電信電話公社(現NTT)入社。96年取締役、98年常務、02年NTT東日本社長、05年NTT副社長、07年6月28日から社長。63歳。広島県出身。

 「グループの収入の4割を占めるドコモのてこ入れだ。ドコモらしいサービス、ネットワーク、料金という3つの観点から強化を進め、厳しい事業環境を改善に向かわせたい。また、固定通信の分野でも、光ファイバーの普及を加速させ、光電話の契約増に伴う収入拡大を狙う。さらに、光ファイバーを軸に、映像中心に次のサービス展開も手がけ、固定通信も成長路線に引き上げていきたい」

 −−先月28日の就任会見では、国際展開に力を入れると強調した

 「日本企業の海外展開が進む中、われわれも国際対応を強化しなければならない。国際通信やシステム統合分野での進出を加速したいと考えている」

 −−研究開発の成果を活用した新事業開拓を狙っているが

 「現在は、研究所で生み出された成果に基づき、各事業会社が技術を採用している状況だ。今後は研究所にもマーケティング機能を持たせ、研究成果を積極的に事業化する仕組みに変えたい。成果の外販も狙う」

 −−総務省は、2010年からNTTのあり方をめぐる議論を開始する予定だ

 「議論は組織論だけを見て行われるのではない。10年の段階で、国際サービスや公共性、技術進化などがどうなっているかも見極めなければならないとしている。重要なのは、現段階で、料金の収納方法などわれわれがお客さまに迷惑をかけている点がまだまだあることだ。今後もお客さまの立場に立って必要なサービスを提供するのが第一だ。その上で必要があれば最終的に組織論の話も出てくると考える。何よりも顧客第一主義の徹底が重要だと考える」

 −−スピードが求められる時代の中で、NTTは意思決定が遅いとの指摘もある

 「事業会社、グループ間、持ち株会社自体であっても意思決定は遅い。階層ごとに、階段のように議論を重ねるのではなく、簡潔に行えるよう改めたい。また20万人の社員の活性化を図るため、風通しのよい人事運用体系を作りたい」

 −−総務省が既存事業者の参入に規制をかけたことで、WiMAXをめぐる免許争奪戦が激しさを増している

 「NTTグループとして、いろいろな検討を進めている。持ち株会社として支援できることがあれば支援する」

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