今回鈴木氏からバトンを受け継いだのを機に、そういえば最近、ガジェットというかデジタル機器を購入していないよなぁと思い、ふと周りを見渡してみた。ここ1年で購入したものといえば、MacBook Pro、PowerShot G7、EM・ONE、W52T……まあ、こんなものかな、という感じ。
というわけであまりキワモノを集めているわけではないので、あまり面白くないかもしれないのだけど、現在のお気に入りということで、EM・ONEをご紹介したい。
EM・ONEといえば、13年ぶりの携帯電話事業新規参入となったイー・モバイルが放つ第1弾端末。
音声サービスのスタートが来年以降ということで、当初はデータ通信のみのサービスとなるイー・モバイルだが、それを逆手にとって、いきなりPDAタイプの端末、しかもウィルコムのW-ZERO3で一世を風靡したシャープ製ということで、話題作りという点はうまい。
端末自体は、音声通話を捨てたことで、横向きに使うことを前提として、スライドキーボードと4.1型WVGAという大画面・高解像度の液晶が特徴的な端末だ。
もともとW-ZERO3→W-ZERO3[es]と使ってきたので、Windows Mobile端末の利用に違和感はなく、すぐに使いこなせた。Windows Mobleの良さもクセもそれなりに分かっているので、大きな不満も不安もなかった。
EM・ONEへの最大の期待は、やはりなんといっても通信速度だ。第3世代携帯電話であるW-CDMAの高速化規格HSDPAに対応し、最大で下り3.6Mbpsの高速通信が可能であり、これまで使っていたW-ZERO3[es]の10倍以上だ。
もちろん、NTTドコモやソフトバンクモバイルの携帯電話であれば同様にHSDPAの高速通信が体感できるが、パケット通信料は従量課金制であり、使った分だけパケット料金が必要となるので、常用するのは現実的ではないと思っていた。
しかしイー・モバイルのウリは、HSDPAの高速通信を定額で利用できる、という点。通信料金も月額5,980円と、まずまず手ごろ。これでデータ通信を使い放題というのだからうれしい限りだ。
私の場合、取材で出歩くことも多く、これまで外出先での通信環境は、公衆無線LANかウィルコムの回線を利用してきた。公衆無線LANは場所が限られ、ウィルコムの回線は無線LANに比べると遅い、という感じだった。
EM・ONEの場合、東京都内は地下でなければおおむね利用できるし、通信速度もIEEE802.11gクラスよりは遅いが、11b程度であればそん色ないぐらい、十分なスピードが出る。EM・ONEでの利用であれば、公衆無線LANも利用することも可能だ。W-ZERO3[es]は無線LANは別売りのカードが必要だったため、そのあたりもEM・ONEは有利だ。
とにかく、EM・ONEは速い、というのが特に大きなポイント。やはり、速さは正義なのだ。さすがに自宅の光回線のような快適さまでは望めないが、EM・ONEの通信速度であればガマンできる。だからよく使う。
しかも、EM・ONE単体での通信だけでなく、PCにつないでモデムとして利用しても定額、というのがイー・モバイルのうれしいところ。外出先でもPCで手軽に、しかも高速通信が利用できるのは本当にありがたい。
とはいえ、私が外出先で使うのはMacBook Proで、EM・ONEは実はMac OSをサポートしていない。これはさすがに悲しいので、ネットの情報をあさってEM・ONEをMacBook ProのUSBモデムとして利用できるようにした。
これ自身はメーカーのサポート外の利用方法なので推奨はしないが、一応問題なく通信は行えている。USB以上に私が使いたかったのが、EM・ONEとMacBook ProをBluetoothで接続し、Bluetoothモデムとして利用すること。
ケーブルでつなぐのはスマートじゃないというか面倒なので、Bluetoothモデムとして利用できれば万々歳というわけ。これもオフィシャルでは対応していないので、ネットの情報から設定をゲットし、現在はBluetoothでEM・ONEとMacBook Proを接続している。
EM・ONE(というかWindows Moble 5)は、Bluetooth 1.2までしかサポートしていないので、通信速度は最大721kbps程度。つまり、EM・ONEの最大速度を生かし切れていないのだが、これが意外に不満を感じない。
もともと外出先では、メールと多少のウェブ閲覧で十分で、大きなファイルのやりとりが少ないからだろう。外出先から画像を送信するのにちょっと手間取るぐらいだが、料金が定額だと考えると、ちょっとおおらかな気持ちで待つことができる。いざとなればUSB接続すればいい、というのもあるし。
結局、EM・ONEを使うのは、それが自分のライフスタイルに適していて、ライフスタイルをさらに快適にしてくれるからだ。そのポイントは速さであり、定額制であり、そしてガジェットであるという点。もし、速さと定額制だけを求めるなら、PC向けのカードタイプ端末を選んだ方がいい。ガジェットとしても使える、それがEM・ONEの楽しさだ。
あとは地下鉄の構内のような地下に電波が届けばいうことない。地方へのエリア展開は順調なようだが、きめ細かいエリア拡大に期待したい。
元PC系ウェブ媒体編集者。その流れでPC、デジカメ、携帯電話、オーディオプレーヤー、セキュリティあたりを好きで追っかけている。基本的に小さいものが好きで、世の中には欲しいものがいっぱい。最近危険だったのはオリンパス「E-410」。デジタル一眼レフであれだけ小さいのだから、それは欲しいですよ。
【使用製品】EM・ONE
【購入時期】2007年3月末。某所で購入
【お気に入り度合い】速さは正義
【次回執筆者】海上忍さん
【次回の執筆者にひとこと】常にひと味違う視点からガジェットを調理する海上さんですから、どんなガジェットを紹介してくれるのか楽しみです。
【バトンRoundUp】START: 第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) → 第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) → 第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) → 第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ) → 第6回:石井英男氏(いつでもどこでもインターネット接続が可能なPHS通信アダプタ) → 第7回:大島 篤氏(電卓とデジタル時計の秘密) → 第8回:荻窪 圭氏(自転車とGPSがあればどこにでもいけます) → 第9回:田中裕子(Yuko Tanaka)氏(これでクラシックもOK!究極のカナル型イヤフォン) → 第10回:佐橋慶信氏(ビジュアル・ブックマークの実践方法とは?) → 第11回:清水隆夫氏(プロ御用達の業務用GPSデジタルカメラ) → 第12回:高橋隆雄氏(傭兵たるものガジェットなど持たぬ!) → 第13回:野本響子氏(「壊れても買い続けたい」理想のロボット) → 第14回:本田雅一氏(本田雅一氏の求める条件にピッタリはまる「あのデジカメ」) → 第15回:塩田紳二氏(紙に書いて「デジタルデータ」になるアイテム) → 第16回:山田祥平氏(山田祥平氏が愛用する移動時間の必須アイテム) → 第17回:元麻布春男氏(元麻布春男氏が「感心した」ガジェット) → 第18回:鈴木淳也氏(ノートPCモバイラーに必須のアイテム)
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