デザインから見るデジタルプロダクツ--第8回:富士通「FMV-BIBLO LOOX Uシリーズ」

インタビュー・文:木村早苗2007年06月29日 16時18分

コンパクト化と多機能を両立させることは難しい。2つの相反する要求を製品に落とし込もうとすると、どこかに無理が出るものだ。そんな既成概念を見事に打ち破った製品が富士通の「LOOX U」だ。ウルトラモバイルという超小型化、PC用キーボードを搭載した580g、そして持ち歩きたくなるようなデザイン。PCのあらゆる“はじめて”に挑戦したLOOX Uの開発の裏側に迫る。

デザインがユーザー層を拡大するという発想


--小さくて軽くて、新しい、そんな魅力的要素がぎっしりと詰まったウルトラモバイルPCですが、デザインポイントは?

石塚 現在弊社では、多様なスタイルに対応したPCを提供するというスタンスでいます。ですからデザイナーは“どんな人に、どう使わせたいか”を考える事が、重要なポイントになってきていますね。

木村 この「FMV-BIBLO LOOX Uシリーズ」(以下、LOOX U)のターゲット層となるモバイルPCユーザーは、一般的に「先進的なパソコン好きの方」が中心だと思われています。

 しかし、そうしたコアユーザーがすべてではないんじゃないかと……。携帯電話があらゆる人に受け入れられたように、PCも小型化されることで、ユーザー層を広げられると考えたんです。

 そのためには、いわゆる見た目、デザインはもっともとっかかりの部分。今までのPCとは違う、新たな提案をすることで、幅広いユーザーにアピールできると気付いたんです。

デザインチーム 富士通株式会社 総合デザインセンター
写真左から
チーフデザイナー 木村健一氏
デザイナー 益山宜治氏
シニアデザインディレクター 石塚昭彦氏

そこで作られたのが、LOOX Uなんですか?

木村 製品として形になったのはLOOX Uですが、約3年前に作ったこの青いモックデザインが原点です。

石塚 私たちの仕事の1つに将来の商品像を描く“アドバンストデザイン”の作業がありまして、青いモックはその一環だったんです。LOOX Uの原点であるアドバンスデザインから担当したのが木村、のちに具体的にスタイリングや色を落とし込んだのが益山です。

木村 アドバンスデザインは、今までのPCとは全然違うでしょう? 折り紙のようにPCを小さく折り畳めないか、というイメージから生み出したものです。女性にアピールしたかったので、日本の伝統的な遊びを取り入れて「折り紙コンセプト」と名付けました。

 キーボードの部分を折りたためるデザインにしたことで、一面を開くと必要最低限のキーボタンが、さらに開くとフルサイズのキーボードが現れて通常の入力ができるようになっています。

アドバンストデザインモデル LOOX Uの原型となったアドバンスデザイン。「折り紙コンセプト」の通り、キーボードが折りたたみ式になっている

--鮮やかなブルーもPCにはない色味ですね。

木村 女性の反応を見たくて展示会に出したら、「ポータブルゲーム機みたい」という声が多かったですね(笑)。このブルーは化粧品をイメージして採用したんです。それからサイズ感のキーワードとして“CDジャケット”を押し出しました。

 超小型と表現してもどれだけ小さいのか写真を見ただけではわかりにくいですよね。そんな時「CDジャケットサイズの薄型コンパクトPC」っていうとスケール感がすごく伝わりやすくなる。サイズ感を明確にしておくと、フルキーボード搭載、折りたためば両手でホールドした状態で歩きながら触れる、といったキーワードがより魅力的なアピールポイントになるんです。

 LOOX Uにはそんな初期のDNAがきちんと受け継がれています。


PICK UP ITEM
富士通/FMV-BIBLO LOOX Uシリーズ(ウルトラモバイルPC)


FMV BIBLO LOOX U

薄さ26.5mm、重量580gという超小型・軽量ボディを実現をした、ウルトラモバイルPC「FMV-BIBLO LOOX U」シリーズ。モバイルを第一に考えたコンパクトサイズながら、フルキーボード、Windows XP Professionalの採用、最大約8時間のバッテリー駆動など、ボディサイズを良い意味で裏切る充実の仕様だ。液晶部は180度回転するコンバーチブル構造で、タッチパネルとしても使える。

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