コンパクト化と多機能を両立させることは難しい。2つの相反する要求を製品に落とし込もうとすると、どこかに無理が出るものだ。そんな既成概念を見事に打ち破った製品が富士通の「LOOX U」だ。ウルトラモバイルという超小型化、PC用キーボードを搭載した580g、そして持ち歩きたくなるようなデザイン。PCのあらゆる“はじめて”に挑戦したLOOX Uの開発の裏側に迫る。
石塚 現在弊社では、多様なスタイルに対応したPCを提供するというスタンスでいます。ですからデザイナーは“どんな人に、どう使わせたいか”を考える事が、重要なポイントになってきていますね。
木村 この「FMV-BIBLO LOOX Uシリーズ」(以下、LOOX U)のターゲット層となるモバイルPCユーザーは、一般的に「先進的なパソコン好きの方」が中心だと思われています。
しかし、そうしたコアユーザーがすべてではないんじゃないかと……。携帯電話があらゆる人に受け入れられたように、PCも小型化されることで、ユーザー層を広げられると考えたんです。
そのためには、いわゆる見た目、デザインはもっともとっかかりの部分。今までのPCとは違う、新たな提案をすることで、幅広いユーザーにアピールできると気付いたんです。
木村 製品として形になったのはLOOX Uですが、約3年前に作ったこの青いモックデザインが原点です。
石塚 私たちの仕事の1つに将来の商品像を描く“アドバンストデザイン”の作業がありまして、青いモックはその一環だったんです。LOOX Uの原点であるアドバンスデザインから担当したのが木村、のちに具体的にスタイリングや色を落とし込んだのが益山です。
木村 アドバンスデザインは、今までのPCとは全然違うでしょう? 折り紙のようにPCを小さく折り畳めないか、というイメージから生み出したものです。女性にアピールしたかったので、日本の伝統的な遊びを取り入れて「折り紙コンセプト」と名付けました。
キーボードの部分を折りたためるデザインにしたことで、一面を開くと必要最低限のキーボタンが、さらに開くとフルサイズのキーボードが現れて通常の入力ができるようになっています。
木村 女性の反応を見たくて展示会に出したら、「ポータブルゲーム機みたい」という声が多かったですね(笑)。このブルーは化粧品をイメージして採用したんです。それからサイズ感のキーワードとして“CDジャケット”を押し出しました。
超小型と表現してもどれだけ小さいのか写真を見ただけではわかりにくいですよね。そんな時「CDジャケットサイズの薄型コンパクトPC」っていうとスケール感がすごく伝わりやすくなる。サイズ感を明確にしておくと、フルキーボード搭載、折りたためば両手でホールドした状態で歩きながら触れる、といったキーワードがより魅力的なアピールポイントになるんです。
LOOX Uにはそんな初期のDNAがきちんと受け継がれています。薄さ26.5mm、重量580gという超小型・軽量ボディを実現をした、ウルトラモバイルPC「FMV-BIBLO LOOX U」シリーズ。モバイルを第一に考えたコンパクトサイズながら、フルキーボード、Windows XP Professionalの採用、最大約8時間のバッテリー駆動など、ボディサイズを良い意味で裏切る充実の仕様だ。液晶部は180度回転するコンバーチブル構造で、タッチパネルとしても使える。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのBioSHADOWが誘う
心地良い室内空間のつくりかた
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス