ある日の午後、眠気を誘われたMaer Israel氏は同僚と連れ立って勤務時間中にサンフランシスコ市内の職場を抜け出し、近くのカフェでダブルエスプレッソを1杯飲んだ。
数週間後、French American International SchoolのITマネージャーであるIsrael氏は、カフェに座っている自分の写真がインターネット上に公開されていることを意外な人から知らされて驚く。その背景には、道路レベルで画像を表示できるGoogleのオンラインマップの新機能があった。
「職場の廊下で人事マネージャーとばったり会ったら、『ちょっとこっちへ』と廊下の端に連れて行かれて『あなたわかってるの?今はいたるところにカメラがあるのよ』と言われた」(Israel氏)。「もちろん、これはまずいと思ったよ。仕事を抜け出して隣の店でコーヒーを飲んだのが人事担当者にバレたんだから。僕の母は『よくクビにならなかったわね』と驚いていた」
門扉をよじ登る男性に、ストリップが売り物の店から出てきた別の男性。Googleが最近明らかにした「Street View」は、そんな無防備な人々の写真で多くの人を驚かせた。しかし、秘密にしておきたいと思う人もいるはずの素材を集めて大規模なデータベースを作成したのは、Googleにとってこれが初めてではない。実際には、検索内容に関連する広告を顧客に提供するために、数年前からすべてのウェブ検索を保存し、「Gmail」のトピックも分析している。
しかし、「Google Earth」で上空から撮影された画像を提示し、Street Viewで街角の光景を映し出し、サイバースペースでの顧客の行動を追跡するGoogleに対して「どこまでやれば気がすむのか?」という声が上がり始めた。ブロガーのMichael Rasmussen氏が、自身のブログBoing BoingでStreet Viewへのコメントとして書いたように、「まったくその通り、ぞっとする」
2007年6月9日には、英国の活動家グループPrivacy InternationalがGoogleを厳しく批判する報告を発表した。それによるとGoogleは「プライバシーに反する」企業であり、プライバシーの問題では20数件の主要ウェブサイト中最も評価が低い。
Google Maps Street Viewは、この報告で槍玉に挙げられている。「テクニックとテクノロジが、一般の人々との適切な協議なしに提供されるケースは少なくない(たとえば道路レベルのビュー)」。他にも、Googleは「プライバシーに関する懸念を無視してきた記録がある」(同報告)。「Googleの会社発表には、人を監視する新しい方法が必ず含まれている」
この報告によれば、「プライバシーを侵害するか、または侵害するおそれのあるテクノロジとテクニックの強引な利用」に加えて、製品の「多様性と特異性」、製品間でデータ共有が可能であること、そして市場での支配的な地位とユーザー数の多さも、Googleのランキングが最低となった理由である。
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