欧州委員会の情報社会およびメディア担当委員であるViviane Reding氏は、欧州でのアナログテレビ信号が段階的に廃止されるにともない、それに割り当てられていたUHF帯をWiMAXに振り替えるべきであると提案した。
担当委員であるViviane Reding氏は、2007年6月初頭にギリシャで行われたブロードバンドに関するスピーチにおいてこの提案を行った。同氏は、コンシューマー間の接続にWiMAXを使用することのできる2.6GHz帯をブロードバンド用として開放するという計画が既に欧州全域で進行中であると述べた。
また、Reding氏はデジタル用周波数帯域の再編と呼ばれる、テレビのアナログからデジタルへの切り替えによってもたらされる周波数帯域の見直しを、デジタルデバイドに取り組むための「1世代で1度しかないようなチャンス」と表現した。
Reding氏は「もしもわれわれが高速ブロードバンドを低価格で実現したければ、高い伝播特性を有する周波数帯がもっと必要になる」と述べるとともに、「政策決定者は、アナログテレビからデジタルテレビへの切り替えによってもたらされるデジタル用周波数帯域の再編に目を向け、UHF帯において無線ブロードバンド用の帯域を確保できるかどうかを真剣に検討する必要がある」とも述べている。
「この周波数帯域のうちのごく一部が割り当てられるだけでも、農村地域のデジタルデバイドを拡張性と費用対効果に優れた方法で解消するための土台が提供され、また、都会と地方のコミュニティー双方に対して競合する代替インフラを実現するための土台が提供されるようになる」(Reding氏)
問題の周波数帯は500MHzから800MHzの間である。これは、WiMAXや3Gの長期的な展開に対応するものとして現在認定されている2.6GHz帯と5.8GHz帯よりもずっと低い周波数であるため、基地局のカバーエリアがより大きくなる可能性がある。
英国の電話通信や放送を監督する機関である、Ofcomとしても知られる通信省は既に、テレビのデジタル化が完了した後でUHF帯域を複数のテクノロジ用に開放することを提案している。OfcomはReding氏の提案を、少なくとも一部は歓迎している。
Ofcomの関係者は「われわれは、われわれの提案が欧州で議論されている内容と整合性を持っているという自信がある」と述べるとともに、「112MHz周辺には、利用可能な大きな周波数帯域があり、われわれはその帯域に多くの多様なユーザーと利用方法が存在する可能性を明確にしている」とも述べている。この関係者は、デジタル用周波数帯域の再編に関するさらなる協議ドキュメントが2007年後半に公開されるだろうと述べている。
しかし、Reding氏のスピーチの一部に対しては異なる反応も返ってきている。同氏は「競争が多くなるほど、サービスが多くなり選択肢も増える」と、Ofcomの考えに近い理想をうたい文句として述べた。しかし同氏は、「これは、公共の利益に基づいて行われるべきことだ。高い金額を支払うことのできる企業のみしか高額のオークションに参加できないという状況がよいとは思わない。われわれは投資と競争を奨励する必要がある。われわれは皆のために安価で、幅広いサービスを必要としている」とも述べたのだった。
Ofcomの関係者はこれに対して、「状況はそれよりももう少し複雑」であり、「われわれがオークション制をとるとすれば、その帯域を最も有効に利用し、売り上げを最大化する(つまり成功する)ビジネス計画を持っている企業が参加することとなる」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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