日本のインターネット人口は8226万6000人、全人口の6割超が利用――。ネットの利用動向などをまとめた「インターネット白書2007」(インプレスR&D)がこのほど発表された。
今年で12年目を迎えた同白書では今回から、調査対象都市を町村部にまで拡大し、ネットの利用内容に着目するなど“質”にこだわった調査手法に変更している。変更理由についてインプレスR&Dは「インターネットが成熟期に入り、普及状況や利用人口の拡大のみを把握する段階ではく、今後は接続の質やインターネットの利用内容、インターネットの技術を使用したアクティビティ、どこにいてもつながるといったコネクティビティに着目する必要がある」と説明している。
調査は無作為に抽出した全国201都市の一般世帯、3歳以上の個人を対象に、地域別、性別、年代別の割付回収を行った。有効回答数は6000人、5874世帯。
今回の調査で、日本のネット人口は8226万6000人であることが分かり、全人口の6割超が利用していることになる。世帯普及率とブロードバンド世帯普及率の上昇傾向は続いており、ブロードバンド世帯普及率は50.9%と初めて全世帯の半数を超えたとしている。
調査手法変更のため単純な比較はできないが、ネット人口は2006年調査時の7361万9000人より約10%伸びており、年代別で見ると、50代以上のネット利用者が増加している。今後、団塊世代が60代にさしかかることを考慮すると、高齢者の比率は高まっていくと想定される。
個人のネット利用動向調査結果では、1日あたりのメディア接触時間をメディア別に見ると「ラジオ」「新聞」「雑誌」は30分未満が60%前後であるのに対し、「インターネット」と「テレビ」では1時間以上5時間未満が合わせて60%超となっている。特にネットでは10時間以上利用する割合が4.4%と他のメディアよりも比率が高い。
さらに、商品やサービスの購入のための情報収集はネットが主流という結果が出ており、同社では「テレビやインターネットの情報源としての位置付けが変化する可能性が考えられる」としている。
また、2007年の注目キーワードとしても挙げられている「YouTube」の利用者数の爆発的な増加などの要因もあり、動画投稿サイトの認知度は、7割を超えている。そのうち実際に利用しているのは18.7%にとどまり、大多数が閲覧のみの利用となっているが、ネット利用者のうち93.3%がYouTubeを利用していると答えている。
同社が“新たなネット経済圏”と説明するSecond Lifeの認知度は29.1%。まだ日本語版が始まっていないため「利用している」が0.8%、「アカウントは持っているが、ほとんど利用していない」が1.3%と低いが、認知率が高いことから日本版開始以降の動きが注目される。
ネット利用者の全体の7割が利用するコミュニティーサービスについては、参加形態別で、発言や書き込みをしている割合が最も多いのは「ブログ」で24.4%、次いで「SNS」が17.3%となっている。一方、フリーの百科事典「Wikipedia」では書き込みは2.4%と低く、34.9%が閲覧のみの利用となっている。
企業のネット利用動向においては、大企業を中心に社内向けQ&Aコミュニティーやブログの導入が進んでいる。しかし、重要性を認識しながらも半分以上が具体的な利用計画にいたっていない。その理由としては、「経営者の理解」や「ITスタッフの技術や能力」の不足が挙げられている。
また、企業のウェブ担当者に「マッシュアップ」のための重要キーワードであるWebAPIについて聞いたところ、認知度は67.2%に上っている。自社サイトでWebAPIを「公開している」のは5.8%、公開されているWebAPIを自社サイトに「利用している」のは6.8%となっている。
メールやスケジュール管理、ワープロ、表計算などのアプリケーションをウェブで提供するGoogleの企業向けソリューション「Google Apps」は認知度が37.2%、「導入済み」が0.9%、「導入を検討中」が3.3%となった。「わからない」「どんなサービスが知らない」と回答している非認知率も6割を超えているが、インプレスR&D傘下のインターネットメディア総合研究所の中島由弘氏は「今後の企業導入に着目したい」と述べている。
同氏は国際的な比較に関して、「人口や普及に関しての基準が各国バラバラであるため、世界で何位という明確な説明は難しいとしたうえで、今後の課題として扱っていきたい」としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」