西川:原点回帰という意味合いがあります。確かに、「ngiラボ」という名称にしても良かったのですが、「ネットエイジ」という社名は、これからはネットの時代になるというビジョンを込めて約10年前に付けた社名ですが、ネットエイジはネットベンチャーの梁山泊として革新的なアイデアと技術で様々なビジネスを創出してきました。そのビジョンの原点の名前を残したわけです。
他社のラボはWeb 2.0的なサービスを合宿形式でゴリゴリ創っていくイメージが強いのですが、我々はさまざまなルートを使って世界レベルの研究をしている研究者たちにアクセスし、さらには「人」そのものを引き入れるような、そういうことができる人脈もある。ですから、ほかのラボとは一段上のことを実践していきたい。
研究テーマについても、インフラを含めた幅広いネット関連技術を視野に入れており、中心メンバーにも橋本大也氏が入ることになっています。彼を中心とし、さまざまな可能性を含めたテーマは設定していきます。
小池:西川はこれまで、代表者として経営にかかわるさまざまな業務を抱えていたわけですが、今回の組織改正により、研究開発にかなり集中した仕事ができると考えています。
ラボは今後の弊社にとって、非常に重要な役割を担う存在なので、西川はそこを、わたしは経営執行と戦略面へさらに重きを置き、役割分担していきます。
「取締役会長」と聞くと、隠居する印象を持たれるのかもしれませんが、西川は逆に今以上に忙しくなります。
西川:今は上場もしましたし、これまでやりたくてできなかったさまざまなことがやれるようになります。目指すは国際レベルで一流の研究所に成長させることです。
小池:純粋持ち株会社はある意味、「人」「モノ」「金」に投資してリターンを最大化するというベンチャーキャピタルに近い役割を担っています。わたしがやるのはまさにそれで、そのための戦略策定と意思決定に集中していきます。
西川:内紛ではないです(笑)。確かに、ここ数カ月間、会社が将来目指す方向性について議論を重ねてきました。また、お互い違う人間ですから、方向性に違いがある部分もありますが、そこはやはり長年一緒にやってきたバディ(仲間)として、(小池氏とは)「会社をどうやって良くしていくのか」という共通意識は変わりません。さまざまな方向性を検討し選び抜いた末に、「これがベストだ」ということになったのです。
わたしと小池というよりは、インターネット事業とファイナンス・インキュベーション事業のコンフリクトやセクショナリズムが出始めてきました。しかし、それは今回の体制・組織変更で一気に解消し、社員も一致団結し、非常に良い状態になりました。
小池:社内は非常にポジティブです。これまでも相乗効果は出ていましたが、「両事業がそれぞれ頑張っている」という状況だったので、それが今回の組織改正によってようやくベクトルが一緒になったということです。あとは一気に走るのみです。
小池:90年代前半にネットの存在が広く知られるようになってから「ネットはビジネスにならない」という議論が各方面で起きましたが、今では大きな社会インフラの1つになりました。一方、私は80年代からネットを活用し、1993年のモザイクの出現に大きな衝撃と可能性を感じ、その後のネットビジネスにフォーカスしていったわけですが、それと同じくらいの可能性を感じている分野があります。当社がnext generated internet(次世代インターネット)と位置付けているバーチャルワールドである「3Dインターネット」の分野です。
日本では「Secound Life」の名称だけが先行して騒がれていますが、わたしはこれを単なるゲームの延長線上にあるものではないと考えています。初めてブラウザが登場してネット世界の可能性が大きく拓けたのと同じ衝撃が、こうしたバーチャルワールドの中では起ころうとしているのです。
実際、当時ホームページが次々と立ち上がったのと同じように、すでに世界中の企業がバーチャルワールドに進出し始めていますし、その制作会社やいくつかの関連事業会社に弊社は出資もしています。具体的なお話をするわけにはいかないのですが、そのほかにもさまざまな視点においてこの分野では先行しています。
もう1つ海外という意味で言うと、アジア展開があります。中国、ベトナムなどの急成長市場には相当深く入り込んでいて、売り上げ比率も海外展開によるものが半分以上になるという時代はすぐに来ると思っています。
我々は今後、単なる日本のネット関連・投資企業ではなく、「ベンチャー」と「イノベーション」を軸としたグローバルな次世代型の総合商社のようなポジジョンを狙っていくつもりです。国籍や人種にこだわらずラボも世界中から英知を集結するつもりですし、グローバルな視点で戦略策定と意思決定を迅速に行っていきます。21世紀はアジアの時代と言われていますが、日本を中心としてアジアを押さえることができれば、それは世界を押さえることと同義なのです。
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