NEC液晶テクノロジー(奥野和雄社長)は5月23日、液晶表示部と同一のガラ ス基板上に18ビット(26万色)表示対応のDRAMフレームメモリを集積した液晶 ディスプレイモジュールを世界で初めて開発したと発表した。
同社のVIT(Value Integrated TFT-LCD)技術と低温ポリシリコンTFT技術を 組み合わせて実現したもの。230kビットDRAMと画像エンコーダ機能付きフロン トエンド回路からなる画像フレームメモリシステムと、画像デコーダ、6ビッ トDAC、コントローラなどで構成される周辺回路を液晶ディスプレイを同一ガ ラス基板上に形成。ガラス基板上に集積した回路としては世界最大規模の40万 個のトランジスタを含むシステムLSIの構築に成功した。
また、NECが独自に開発した画像圧縮/伸張技術「SPC」を採用することで、26万色相当の高画質表示と、回路面積の削減および低電力化を実現。さらに、 画像データの書き込み/読み出しを、それぞれ独立にランダムアクセスできる 駆動方式と、それを実現するステータスレジスタ/コントローラを開発するこ とで、約30フレーム/秒の高速描画を実現した。これにより、ワンセグ放送や デジタル動画コンテンツもスムーズに表示することができる。
PDAやスマートフォンなどのポータブル機器の普及と高機能化が進むなか、 表示装置の消費電力低減が課題となっており、解決策の1つとして、画像フレー ムメモリを表示装置側に搭載する方式が知られている。しかし、画像フレーム メモリにはシステムLSIチップが不可欠で、その量産化には長いリードタイム を要するため、システムLSIをガラス基板上に直接形成できる技術への期待が 高まっていた。
今回の成果は、こうしたニーズに対応するもので、今後、ガラス基板上にフ レームメモリを集積した液晶ディスプレイモジュールの実用化が期待できる。 NEC液晶テクノロジーは、駆動ドライバ、フレームメモリ、電源電圧変換回路、 インターフェイス回路など、液晶ディスプレイモジュールの画像表示に必要な 外部回路をガラス基板上に集積化するため、今後もVIT技術の向上に注力し、 システムのMPUバスラインに直結可能な「Zero Chip Display」の実現を目指す。
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