Cisco Systemsが協業の輪を広げ、顧客に「移動性」をもたらそうとしている。
Ciscoは米国時間5月22日、医療ケアや小売といった特定市場向けのモバイルソリューションを実現する、複数の新しい製品を発表した。同製品をこれらの業界の特質に合わせるため、Ciscoは自社ばかりでなく他社の技術も活用している。
例えば医療ケア業界向けの「Location Solution」は、Ciscoの「Unified Wireless Network」ソフトウェアと、業務資材を追跡管理したり、温度や電池残量、湿度などの遠隔測定情報を収集したりするWi-Fiタグを組み合わせたものだ。同ソリューションでは、流通経路とそれに関連したタグを無線経由で監視する技術を開発した、AeroScoutおよびWhereNetがCiscoに協力した。
タグの付いた物資が監視エリアを通過するとアラームが発動し、救急医療カートや備品の一部が無許可区域に侵入したことを管理者に知らせる。これにより病院は、高価な設備がどこにあるのか把握できるようになる。
「In-Store Mobility Solution」は、ユニファイドコミュニケーションとCiscoのWi-Fiネットワーク技術を組み合わせた小売業向けのソリューションで、店内にいる従業員や納入業者、客などがアクセスできる無線ネットワークを構築する。例えば小売店がショッピングカートに無線デバイスを取り付け、買い物中の客に商品を宣伝することなどが可能だ。同無線接続デバイスを利用すれば、買い物客は店員を探さなくても店側に質問することができる。
Ciscoが開発したもう1つのソリューションは、石油ガス市場向けの「First Mile Wireless」である。この無線ネットワーク製品は、採油所と石油会社の本社を接続するのに使われる。油田周辺の過酷な環境に合わせて強化されたCiscoの無線メッシュアクセスポイント「1500」シリーズと、無線ネットワーク管理システム、他社の無線送信機を組み合わせ、Wi-Fi、WiMAX、衛星などを介してトラフィックを逆送する製品だ。
こうした新製品の開発の背景には、Ciscoが無線戦略の重点を移動性の向上に置こうとしているという事情がある。
同社で無線モビリティビジネス部門ディレクターを務めるAlan Cohen氏は、「モバイルデバイスを使用しているときでも、作業者が職場と同じように生産的な仕事ができるようにしたいと考え、取り組みを進めている」と述べた。
Ciscoは、大半の企業が長期的なモバイルIT戦略を運用できていない現状を考慮し、移動性を重視する方針の採用に踏み切った。今日でも、社外で高い生産性を実現するアプリケーション群にアクセスできない企業社員は非常に多い。
Ciscoは2007年3月、作業者の移動性を向上させる計画の一環として、同社の「Unified Communications」ソフトウェアをモバイルデバイス上でも利用可能にすると発表した。同ソフトウェアを搭載したデバイスを用いることで、ユーザーはモバイルの電子メールでボイスメールをチェックできたり、会社の全ディレクトリにアクセスできたり、同僚のオンライン状態を確認できたりするようになるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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