NRI、業績好調で反転上昇軌道の兆し

 野村総合研究所(NRI)の株価が反発の兆しを見せ始めている。2007年3月期の好決算の発表と、2008年3月期の良好な業績見通しが好感されたためだ。今後は4月4日に付けた株式分割後の高値3630円に向けて堅調な株価推移も予想される。

 NRIが4月26日に発表した2007年3月期の連結決算は、売上高が3225億円(前期比12.9%増)、営業利益が438億円(同20.4%増)、経常利益が460億円(同20.5%増)、純利益が270億円(同20.0%増)とすべて二桁成長の増収増益だった。

 同期のセグメント別業績動向では、コンサルティング事業が売上高298億円(同13.6%増)、営業利益44億円(同17.2%増)となった。民間企業向け経営コンサルティングの受注が企業のセキュリティ対策、文書管理をはじめとする内部統制、業務改革、事業戦略、組織再編──などの案件を中心に増加。また、証券、銀行などの金融サービス向けのシステムコンサルティングが順調に推移したことが寄与したためだ。

 ITソリューション事業の業績は売上高が2926億円(同12.9%増)、営業利益が394億円(同20.7%増)となった。特に、銀行など金融機関の合併やオンライン証券向けのシステム開発、保険金の未払いが社会問題となった生命保険各社向けのシステム再構築の動きなどが寄与した。

 こうした売上高の増加に加え、中国への開発委託によるコスト削減やプロジェクト管理の徹底などによる経費削減なども寄与。経常利益も前期比で20%増を確保した。2月にシステム開発の拠点を東京都江東区に新設・移転したのに伴い、関連費用を特別損失に計上したものの、株式売却益などで補った。

 2008年3月期の連結業績見通しについては、売上高が3350億円(同3.9%増)、営業利益が460億円(同4.8%増)、経常利益が480億円(同4.1%増)、純利益が285億円(同5.5%増)と小幅ながら引き続き増収増益を見込んでいる。

 今期の具体的な見通しについて同社は、コンサルティングサービス事業で金融サービス業界向けの経営コンサルティングおよびシステムコンサルティングが引き続き増加すると見込んでいる。ITソリューションサービスでは、証券業などの金融サービス業向けを中心にシステム開発売上が増加するのをはじめ、新規大型顧客に対する共同利用型サービス業の提供開始や流通業主要顧客向け電子マネー案件の新規稼働などにより、運用サービス売上高も金融サービス業向けの増加を見込んでいる。

 さらに、コスト面ではシステム開発におけるプロジェクト管理の徹底に取り組むとともに、持続的な成長に向けた研究開発や業務効率化のための社内システム整備などを実施していく。

 NRIの株価は3月末の1株を5株にする株式分割実施後の4月4日に付けた3630円の高値から下落トレンドをたどり、5月1日には年初来安値となる3190円を付けた。しかし、先週末の11日には終値で3400円まで株価が戻ってきており、今後は4月4日の年初来高値を回復し、中期的には4000円台での活躍も期待できそうだ。

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