ニューヨーク発--パイオニアは米国時間5月9日午前に開催された報道陣向けイベントにおいて、プラズマHDTVの新たなシリーズや、いくつかの新しいホームシアター機器、日本語の「黒」から名付けられた「Project Kuro」と呼ばれる新技術およびビジネス戦略を発表した。
黒こそ、このイベントの中心であった。パイオニアの主張は、同社の新しい第8世代フラットパネルによって、市場にあるどのテレビと比べても最も優れたレベルの深い黒を表現できるということにあった。
パイオニア幹部らによるプレゼンテーションによれば、同社はProject Kuroのもとでパイオニアの技術とビジネス戦略の双方を完全に再構築したという。Pioneer USAのマーケティング担当シニアバイスプレジデントであるRuss Johnston氏は、新たな色フィルタ技術とセル構造によって「極めて深遠な黒」が表現できるようになったと述べ、それを「業界の様相を一変させる技術」だと表現した。改良されたこのプラズマ技術は、パイオニアのすべてのフラットパネルで採用されることになる。
HDTV市場におけるプラズマTV技術の成功について疑問を呈するアナリストもいるが、パイオニアの幹部らは、色の品質がすべての面で優れているということを根拠に明るい見通しを描いてみせた。Johnston氏は「プラズマは赤、緑、青それぞれが自ら発光する」と説明し、「また、白から黒にいたるまで、カラースペクトルをあまねく再現することも可能だ」と付け加えた。
パイオニアはこういった主張を行うと同時に、多くの電機メーカーが自社のHDTVの普及と低価格化に努力しているなかで、それとは逆のことに力を注いでいる。Pioneer North AmericaのPresident & CEOである羽賀勉氏は、同社は「多くの企業が追い求めている大衆向けモデルと差別化する」ことを目指しており、AV市場における最高品質を追求していくと述べている。
パイオニアの幹部らは報道陣向けカンファレンスにおいて、同社の顧客ベースである「違いのわかるエンターテインメント通」(高品質のAV製品に対する思い入れを持ち、そういった製品に対しては出費を惜しまないという消費者)を大事にするという姿勢はProject Kuroによって徹底されることになったと述べた。パイオニアのホームエンタテインメントビジネスグループ事業企画部PDP企画部部長である塩田克延氏は、同社のフラットパネルが最高であるということを、消費者に店頭で実際に体験してほしいと思っていると述べる。また、同氏は、どのような製品を購入する場合であっても、こうした消費者はとてもユニークな体験を期待していると付け加えた。
パイオニアは第8世代の一連のプラズマTVの最初のモデルを2007年6月に出荷する予定だ。1月に「Consumer Electronics Show(CES)」で展示されたこれらのモデルは42インチの「Pioneer PDP-4280HD」が2700ドルで、50インチの「Pioneer PDP-5080HD」が3500ドルで販売されることになる。その1カ月後には、Pioneer Eliteシリーズの最初のモデルの販売が開始される。42インチの「Pioneer Elite PRO-950HD」が3200ドルで、50インチの「Pioneer Elite PRO-1150HD」が4500ドルで販売される予定だ。
よりハイエンドの1080p信号に対応した高解像度フラットパネルプラズマTVは2007年秋に出荷が開始される予定だ。50インチと60インチのモデルの価格は5000ドルから7500ドルになるだろう。
さらに、パイオニアの新しいEliteシリーズには新たなホームシアター機器が含まれている。これらの機器としては、1000ドルのBlu-ray Discプレイヤーや299ドルのコンピュータ用Blu-ray Discドライブ、650〜1600ドルの新しいAVレシーバ4機種がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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