Goldstein氏によると、同氏がAttenTVのアイデアを思いついたのは、オンラインでの時間の過ごし方を可視化する方法がないかと考え始めた、2006年のことだったという。だが、同氏はAttenTV以前にも、同様の、いわゆる「アテンションエコノミー(Attention Economy)」の分野でベンチャービジネスを立ち上げている。Goldstein氏は、消費者のデータ履歴に関する権利の保護を目的とする非営利組織AttentionTrust、およびROOT Marketsの創業者でもある。ROOT Marketsは、インターネットの履歴を保管し、オンライン版の「金庫」となるソフトウェア、Root.netの提供元だ。
だが、アテンションエコノミーが市民権を得るには、この考え方を取り入れたアプリケーションが続々と登場するようでなくてはならない。それまでは、AttenTVから得られる最も重要な価値は社会に貢献しているという満足感だと、Goldstein氏は述べている。
「利益を得ることを考える前に、まずは社会環境として機能する必要がある。また、サービスそのものが楽しくなければならない。そうでなければ、十分な数のユーザーを獲得できないだろう」
これまでのところ、AttenTVで自らのクリックストリームを公開しているユーザーは、30人程度にとどまっている。
Intercasting Corporationというモバイルソーシャルネットワーク企業の社長を務めるDerrick Oien氏も、その1人だ。Oien氏は数週間前にAttenTVに登録し、「非常に面白い」と感じているという。Oien氏は特に、お気に入りのブロガーの1人であるFred Wilson氏が見ているサイトがわかる(Wilson氏もAttenTVでクリックストリームを公開している)点が気に入っている。Oien氏によれば、AttenTVを利用している多くのユーザーが自分と同じサイトを見ていることがわかったという。
たぶん、他の人の見ているサイトを見るだけでも面白いのだろうが、「カスタマイズされた」ウェブ体験の話はどうなったのだろう?クリックストリームの公開はまだごく初期の段階だ。今後の発展のためには、より普通のウェブサーファーが、違和感なく、自らのウェブサーフィン体験をすすんで公開するよう仕向ける必要がある。今のところ、登録を促すほどの実質的なメリットはないが、マーケティング業者がこうした情報の購入を始めるか、すべてのクリックストリームデータを利用するアプリケーションが開発されるようになれば、登録しようという気になるだろう。
「非現実的なアイデアのままなら、重要ではない」とOien氏は言う。同氏が自らAttenTVの実験台になった理由も、ここにある。「こうした技術を支援するつもりなら、ツール開発者に対し、自分自身を見本として差し出す必要がある」とOien氏は述べた。
今はまだごく初期の段階かもしれないが、AttenTVはこれから先、ビジネスとして成立する可能性を秘めている。Goldstein氏自身は「まず理論やコンセプトに注力する」タイプだという。次の段階として、コンセプトを裏付ける証拠、つまり、ユーザーのオンライン行動を明かすデータが、友人や家族、自分が登録しているソーシャルネットワークの利用者など、ほかの人々にとって面白いものになりうることを提示する必要がある。「あるいは、有名人なら、公開先は自分のファンだ」とGoldstein氏は語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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