前回、ベンチャー企業の内部統制をまとめてみましたが、今回は事業計画の実務についてまとめたいと思います。
まず、みなさんの会社には事業計画書というものがありますか。それはどんなものでしょうか──。「事業計画書の書き方」といった書籍は書店に流通していますが、何を目的にするかで事業計画書の必要な項目は違ってきます。
今回は、ベンチャー企業の皆さんが、株式上場することを中期的な目標として、会社の事業計画書を株主や金融機関に提示し、説明をするというシーンを思い浮かべながら、事業計画書には何が記載されているべきかをまとめてみます。
さて、みなさんの会社の事業計画で、下記をすべて網羅しているものがどれだけありますか。みなさんの会社の経営陣で、それらをすべて口頭でも説明できる方はいますか──。
1.会社概要・会社の沿革
2.役員の略歴
3.株主構成
4.事業の概要
5.ビジネスモデル、決済エンジン説明
6.マーケティングデータ、類似企業との比較、参入障壁等の説明
7.事業の課題やリスク
8.長期ビジョン
9.短期利益計画(短期…1年をP/Lベースで月次展開したもの)※数値データ
10.中期利益計画(中期…3年〜5年をP/Lベースで年次展開したもの)※数値データ
11.中期資産計画(中期…3年〜5年をB/Sベースで年次展開したもの)※数値データ
12.資金繰り計画(短期…1年をC/Fベースで月次展開したもの)※数値データ
13.資金繰り計画(中期…3年〜5年をC/Fベースで年次展開したもの)※数値データ
14.資本政策 ※数値データ
おそらく、あるものとないものが点在しているのではないでしょうか。仮にあったとしても、数値データのあるページはそれぞれリンクがとられていてつじつまがあっていますか。資金調達したら、調達金額は資金繰り計画に反映され、B/Sにも反映されていますか。資金繰りは支払い・入金サイトを計算していますか。消費税も掛け算していますか──。
端的に申し上げますと、上記がすべて出揃った状態で初めて投資家や金融機関に説明ができる状態である、ということです。その上でいろんな意見をもらうということになります。つまり、これがなければ、投資家や金融機関と自信をもって話をすることができない、ということになりますね。
また、数値データに関していうと、その数値データを算定した根拠、また、この会社にとっての重要指標(売り上げやコスト構造を因数分解した指標)なども当然問われることになります。
社長の人柄やプレゼン能力、過去の実績だけをもって、投資家と話をすると、後々自社のクビを締めることにつながります(どこかでつじつまが合わなくなる)ので注意が必要です。
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