東証マザーズ銘柄で国内最大規模のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「mixi」を運営するミクシィは4月18日、業績の上方修正を発表した。これに好感して、同社の株価はようやく反発の兆しを見せ始めている。ミクシィの株価上昇基調は、いまだに下げ止まる気配を見せないマザーズ市場全体の復活に向けても影響を及ばす「救世主」となるのだろうか。
ミクシィは2007年3月期の非連結業績について、売上高を従来予想の47億8900万円から52億円(前々期比2.7倍)、経常利益も同17億1900万円から21億円(同2.3倍)、純利益9億8600円を同11億円(同1.9倍)に上方修正した。「mixi動画」などの機能追加や携帯電話向けサービスである「mixiモバイル」の機能を向上させたことにより、ユーザー数およびページビューが順調に増加したことから、ローテーションバナーをはじめ、ブランディグバナーやタイアップ広告といったSNS独自の手法による広告販売が好調に推移したことが寄与した。
外資系証券のアナリストは「東証マザーズの株価指数は、2006年1月のライブドアショック直前の最高値2800ポイントから下落し続け、先週末の20日には934ポイントと最高値に比べて67%減少となる3分の1の水準まで低下し、指数設定以来の安値を更新し続けている。これは個人投資家のあいだに、マザーズ上場のIT・ネット関連銘柄の多くが成長力を失い、業績の下方修正が相次いでいるというイメージがあるためだ」と指摘する。
しかしその一方で、「今回のミクシィの業績上方修正は、IT・ネット関連銘柄全ての企業の業績が不振に追い込まれているわけではないことを証明した形だ。業績好調にもかかわらず、ミクシィの株価も上場来高値の325万円(2006年9月)に比べて現在は半値水準となっている。市場関係者のあいだでは、今後業績好調に見合った形でミクシィの株価が継続的に上昇し、マザーズ市場の相場復活を担うけん引役として期待が寄せられている」としている。
従来のインターネット関連広告の成長性・採算性が踊り場状態に差し掛かっているなかで、ミクシィのSNSという媒体特性は成長余地が大きく残されているようだ。ミクシィは2006年の秋から今年の春先にかけて広告料金の平均30%程度の単価引き上げを実施したものと見られる。それでも、既存のネット広告に比べて料金は依然低水準にあるため、売上高、利益ともに成長余地はかなり大きいものと想定できそうだ。
同社の株価は、2006年11月20日に157万円の上場来安値をつけて以降いったん上昇に転じ、2007年1月29日には年初来高値の268万円まで戻した。その後再び下落に転じて値を下げ続け、4月18日には年初来安値の161万円まで売り込まれ、今回の業績上方修正が発表された翌日の19日から反発の兆しを見せ始めている。マザーズ市場全般の相場は急ピッチでの回復は期待薄となっているものの、ミクシィの成長性に対する見直しが順調に進めば、年初来高値の268万円水準の回復も中期的には十分期待できそうだ。
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