薄い折りたたみ型がウリのN703iμだが、同時期に発売されているP703iμも同じ11.4mmの薄さを誇る折りたたみ端末。基本的には外観のデザインが最大の差ではないかと見ている。メタリックな外装をソリッドにまとめたシンプルが魅力のP703iμに対して、ラバーのような柔らかめの素材と意味ありげなドット加工がなされているN703iμ。休みの日に街に出るとき、品の良いジャケットを着ていくか、スポーツウエアをカジュアルに着こなすか、というコントラストが、とてもわかりやすい棲み分けを見せてくれている。
N703iμがとても良いバランスで構成されているシティ・スポーティなケータイであることは紹介してきたとおりだ。デザインが醸し出す雰囲気がドライブして、世界観を創っているとても良い例だと思う。あわせて必要な機能が、とても薄いボディに盛り込まれている点も、ターゲットの心をうまくつかんでいくだろう。しかしながら、この端末に最も残念だと思われる点は、おサイフケータイが搭載されていない点である。
現状でもミニマルなケータイとしての役割を最大限に果たしているが、ここにおサイフケータイが盛り込まれたら、当面何も困らないケータイになっていたのではないだろうか。それこそ財布やカードすら持たずに、この1台のケータイ、というよりはこの1枚のケータイを持っていれば、通話、メール、買い物、交通機関にも対応できる。身に付けるミニマルな生活ツールとして、N703iμの世界観が完結しそうなものだ。
とはいえ、今後にも大いに期待だ。この薄型のボディは向こう3年は利用し続けられる母体になるかも知れない。逆にこのボディに何を盛り込むか、というカタチでバリエーションを展開してくれたらおもしろい。僕の場合はこれにおサイフケータイが欲しいが、同様にGPSやワンセグ、高感度のカメラ、フルブラウザと無線LANなどを含める事もありえる。
全部共存させる必要はないかわりに、ユーザーが自分のライフスタイルを考えて、機能を選ぶようになると、日本のケータイとケータイユーザーは新しい局面に入る。そんな予感すら感じられるN703iμは、とことん居心地良い端末だと思った。
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