これだけ薄型の端末でありながら、FOMA703iシリーズとして標準的な機能を押さえているのも特筆すべきだ。同じ薄さのP703iμとの差は、着うたフルへの対応の有無。N703iμは着うたフルに対応し、ミュージックプレーヤー機能を搭載しているため、ヘッドフォンをつなげば音楽ケータイとして楽しむことができるあたり、ターゲットとなるユーザー像が伺える。
ディスプレイは2.3インチでQVGAより少し縦長の240×345ピクセル表示ができるため、メール作成などの機能を使っている間でも時計や起動しているタスク表示がされている。フォントはベクトルフォントが採用されており、5段階のサイズ、3段階の太さどれを選んでもキレイに表示されるのがうれしい。
さてその表示される文字を入力するキーと入力方法について。今手元にはN703iμとSoftBank 812SHがあるのだが、812SHに比べるととても固い印象だ。特に十字キーと決定キーは接近しすぎていてクリック感も薄いため、決定キーを押したつもりだったのに上キーが押されていると言うこともよくあった。固めのキーに片手で文字入力を続けていくのは骨が折れそうだが、漢字の候補も出せるT9入力とポケベル入力が可能。後者は両手で構えて打てば、さほど疲れることもない。当然予測変換にも対応していて、NECのケータイサイトからダウンロードした辞書を追加すれば、候補のカスタマイズもできる。
文字入力はメールのために書くことが多いだろう。N703iμのメール機能はおもしろい。以前のNECの端末から「感情お知らせメール」という機能が付いていた。これは相手から届いたメールの中身を解析して、内容を感情アイコンで知らせてくれる機能だった。N703iμではこれを応用して、自分で書いたメールの内容を解析した上で、自動的にデコメールに変換してくれる「おまかせデコメール」の機能が備わった。筆無精だったり、絵文字のセンスがなかったり、デコメールなんて使ったことない、いわゆる「黒メーラー」でも、カラフルなメールをワンタッチで作成できる点はユニークだ。
これに加えて拡張されたデコメールの機能である「デコメ絵文字」や、電話帳お預かりサービス、着もじなどが搭載されている一方で、GPS機能・ワンセグ受信・おサイフケータイ・海外ローミングなどには対応していない。音楽機能と工夫を凝らしたコミュニケーション機能が光るこのN703iμ。搭載された機能、省かれた機能からこの端末のポジショニングが読み取ることができるのではないか。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)