The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)は、議論の的であったアダルト向けウェブサイト用のドメインサフィックス.xxxの新設案を否決した。
ICANNは米国時間3月30日、ICM Registryからの申請を賛成5対反対9で否決した。ICMがここ数年、アダルトコンテンツのあるウェブサイト向けのレジストリとなることを求めていた議案である。
ドメイン名とインターネットアドレスの管理団体であるICANNは、ICMの提案が引き起こす社会的な問題はあまりに多く、最終的には非営利団体としてのICANNの役割を変えてしまいかねないと判断した。
ICANNは会合で「ICMの返答は、低俗なコンテンツに関する(ICANN Government Advisory Committeeの)懸念を解決するものではなかったし、不利益にさらされる人の保護に関するGACの懸念にも対処していない。委員会は、申請者が提案するメカニズムで上記の社会的な問題が確かに解決し得るとは判断しなかった」と述べた。
ICANNは、各国にそれぞれ違ったポルノ規制法があり、ICMの提案は世界中の司法当局において重大なコンプライアンス問題を引き起こす可能性があるとも指摘している。
ICANNは会合において「ICANNがインターネットコンテンツを継続的に管理し、監視せねばならない状況になるという、信頼できる予測がある。それはICANNの技術的な権能にそぐわない」と述べている。
ICANNがICMの申請を否決したのは今回が最初ではない。ICMは2000年からトップレベルドメイン.xxxの提案を続けている。それでも、今回また委員会の意見が割れた。
ICANNのディレクターSusan Crawford氏は、ICMの修正案でGovernment Advisory Committeeの懸念が解消されるだろうと述べた。
議事録によるとCrawford氏は「提案者に、コミュニティーが正確に定義されていてどのような人や団体がコミュニティーを構成しているのか容易に判断できることを示し、またそのコミュニティーが世界の一般的なインターネットコミュニティーとは異なる共通の需要と興味を持つ人からなることを明らかにするよう求める。申請者は提案の中で、.xxxドメインを担うコミュニティーを、明確で識別の容易な市場において事業を最適に運営するための共同作業をしたいと願うアダルトサイトのウェブマスターであると自己定義するグループであると見なしているように思える」と発言している。
同氏は、ICMの提案を支持するアダルト向けポルノコミュニティーのメンバーは、最適な事業の運営を見いだし実践するためのフォーラムを形成することを目指しており、そのようなフォーラムが現在のところ他には存在しないという認識が大きな動機になっていると付け加えた。
しかしICMの提案は、保守系の諸派からだけでなく、ポルノコミュニティー内部からも反対を受けている。コミュニティーには、ICMの提案が「歓楽街」を作ることになり、より主流に近い産業になろうとする努力を挫折させるだろうと述べて、支持を取り下げたメンバーもいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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