携帯電話のネット接続サービスに有害サイトアクセス制限(フィルタリング)サービスを導入したことで、一部利用者がキャリアの公式サイト以外のサイトを閲覧できなくなっている問題に対し、KDDIが現行方式を見直す検討に入ったことが、3月14日までに分かった。
KDDIはNTTドコモなどに比べて厳しいフィルタリング方式を展開していることから、有害にあたらないサイトにまでアクセス制限がかかり、関連事業者の経営に大きな打撃を与える可能性が高いことから、非難の声が高まっていた。
KDDIは現在、公式サイトのみ閲覧できるフィルタリングサービスを展開している。そのため、フィルタリングサービス利用者は、一般サイトで情報発信・事業展開する優良サイトにアクセスできない状況になっている。
一方、NTTドコモはKDDIと同じフィルタリングサービスに加え、有害サイトと判断したサイトのみアクセス制限するサービスを併用している。
ある有力一般サイト運営事業者は「すでに(有力サイトに)アクセスできないという問い合わせがきている」と指摘しているが、KDDI広報によると「(一般サイト運営事業者や利用者から)クレームがきているとは聞いていない」という。
ただ、KDDIでは現状のアクセス制限について問題意識を持っており、「弊害が出ていることは認識している。利用者にフィルタリングを使うか否かを選択してもらうのが前提だが、オプション(有害サイトリストによるフィルタリング)は増やす方向で検討している」(au事業本部au事業企画部長の雨宮俊武氏)と、現行方式を見直す方針であることを示唆した。
総務省によると、近年、未成年者が有害サイト絡みで事件などに巻き込まれる事例が多発しているという。そのため、同省は2006年11月20日に主要3キャリアに向け、フィルタリングサービスの普及と強化を要請していた。主要3キャリアは2月13日前後から、利用者にフィルタリングサービスを導入するか否かの意思を明記させる項目を利用契約書に追加。現在、未成年者は保護者がフィルタリングサービスを希望すれば、有害サイトと認定されたサイトを閲覧できない仕組みになっている。
ただ、KDDIのように一般サイトが完全に閲覧できなかったり、有害サイトのリストを用いる手法であっても、「数百万人の会員がいる有力サイトも閲覧できない状況にある模様で、今後、経営に深刻な打撃を与える可能性もある」(一般サイト運営事業者)との指摘もある。
なお、KDDIは2006年4月から現行方式のフィルタリングサービスを展開していた。ただし、これまでは利用契約をする際に同サービスの導入に関する意思確認の項目は、利用契約書に盛り込まれていなかった。
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