日本発“検索広告ベンチャー”、巨人Googleに挑む元バイオ研究者の勝算とは

インタビュー:島田昇(編集部) 文:小林 ミノル2007年03月16日 20時57分

 飛躍的に市場が拡大しているネット広告業界で、検索連動型広告と同じ検索技術を活用した新たな広告手法として注目されている「コンテンツ連動型広告」。Googleの「Google AdSense」で知れ渡ったコンテンツ連動型広告は、閲覧しているウェブページの内容に応じて、適宜、広告を表示するシステムだ。

 2005年に設立されたブレイナーも、この技術を開発、運営するベンチャーである。Googleに対抗するこの日本発のベンチャーの強みについて、「技術と広告の両方に精通していること」と同社社長の本田謙氏は語る。

起業のきっかけはSNS

 「コンテンツマッチビジネスは、アフィリエイト広告と異なり、技術が必要なので、競合他社が比較的多くありません。しかも、技術のみの会社がコンテンツマッチに手を出しても、その技術がどれくらい広告ビジネスに有効なのかうまく判断できないことが多いんです。

 その点、弊社は技術開発だけではなくシステム運営までおこなっているので、代理店やクライアントからいただいた要望も迅速にフィードバックして広告効果を高められるんです」

 上記のような同社の強みは、本田氏の(異色の)経歴によるところが大きい。起業以前、本田社長はバイオ系のコンピューティングの研究者だったのだ。加えて、仕事のかたわら、フリーウェアの開発やアフィリエイトビジネスなども手がけていたのである。

 「研究といまの仕事は、大量の情報のなかからデータマイニングを行うという点で似ているといえば似ているんです。

 起業したのは、高校の同級生だったある投資家に勧められたことがきっかけでした。その人は、私が匿名で作っていたフリーウェアをみつけて、そうとは知らずに使っていたらしいんですよ。ところが偶然、あるSNS上で再会して、同級生だったことがわかり、再びやりとりをするようになったんです。

 それで彼がある日、『Google AdSenseのような日本版のベンチャーがあったらおもしろいのにね』と、ズバリ私に起業を勧めたんです。私としても、アフィリエイトで副収入を得ることよりも、サービスを提供することに興味があったので、起業しました。起業直前の1年ぐらいはプロトタイプのベータ版を作製し、インプレッションの大きいサイトに使っていただいたりしていました」

 1年間の試運転の後、2005年の9月に会社を設立。当初は、サイトを立ち上げただけで告知さえしなかったにもかかわらず、順調に広告掲載の申し込みがあったという。ちょうどGoogle AdSenseが日本の広告関係者の間で話題にのぼりはじめた頃のことだ。

 「Googleの収入をみると、ただクリック数を売るだけで、1兆円というめちゃくちゃな数字が出てますよね。『巨大なマーケットの中で、0.1%でもシェアを取れれば、相当な売り上げになるはずだ』と考えたのが、会社設立を決断した理由のひとつです。

 開発当初に気をつけたことは、サーバへの負荷ですね。広告の表示が遅いという問題が一度発生すると、ブロガーに利用されなくなるので、徹底的にサーバ台数に余裕をもたせるようにしました」

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