自称「VCオタク」が問う学生ビジコンの本質--3月10日〜、京都でその後の起業前提に開催

島田昇(編集部)2007年03月09日 21時03分

 佐俣恐るべし──。

 第一線で活躍するベンチャーキャピタリスト(VC)さえ唸らせる自称「VCオタク」の大学生、佐俣アンリ氏などが、“実のある学生起業”の支援を目指したビジネスプランコンテストを3月10〜12日、京都市内で開催する。

画像の説明 「昨日もあるVCの自宅に泊まってしまいました」と笑う慶応義塾大学経済学部4年生の佐俣アンリ氏

 それは単にビジネスプランを発表してその優劣を競うというものではなく、実際にその場で発表されたアイデアを、現実感のある事業として成立させてしまおうというコンセプトのものだ。参加者はプロの助言などを聞きながら、2泊3日の合宿で徹底的にアイデアを練り上げ、ビジネスとして成り立つ商品・サービス化を目指す。

 佐俣氏がこのようなビジネスコンテストを開催しようと考えたのは、いたるところで開催されるビジネスプランコンテストへの問題提起と、「なぜ、あと一歩のところで学生は起業できないでいるのか」(佐俣氏)との疑問が根底にある。

 佐俣氏によると、今の学生たちは起業したいとの欲求が高まっている一方で、世間で思われているほど、現実の行動、つまり起業できないでいるという。実際、東京を中心に各地で開催されるビジネスプランコンテストには、毎回、大勢の学生が集まる。しかし、コンテストはコンテストで終わってしまい、「学生のビジコンにおける優勝プランが実現するのは10%弱と非常に少ない」(同)。

 その要因として考えられるのは、コンテストに発表するためにビジネスプランが考えられがちになっていることがある。本来、ビジネスプランは事業化が実現してはじめて、価値を生み出すもの。それが、目的であるはずの事業化に向けたプランと、その手段であるはずのコンテストそれぞれの趣旨が入れ替わり、本末転倒なことになっていると、佐俣氏は考えているのだ。その背景には、人材不足に悩む企業が「優秀な学生を確保したい」との思惑でビジネスプランコンテストを開催、支援しがちという背景もある。

 こうした状況を改め、学生が考えるビジネスプランを本来あるべき方向性へと持っていき、その支援を本格的に行いたいとの思いが、今回のビジネスプランコンテスト「 SEEKS 」を企画するきっかけとなった。

 SEEKSでは学生が参加しやすくするため、参加料3000円で宿泊費、交通費のすべてを佐俣氏らSEEKS実行委員会が負担する。金銭面の負担は10社程度の企業による協賛費用でまかなう。

 今回は約35チームからの応募があったが、書類選考の一次審査時点で12チームにまで絞り込み、2次審査以降を京都市内で開催する泊まりこみの合宿で行う。優勝者には起業に伴う資本金に充当することを前提に300万円の賞金(賞金は3位まで)が贈与される。

  今回の結果を踏まえ、今夏にも第2回の開催も予定している。

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