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デザインから見るデジタルプロダクツ--第5回:ソニー「テレビサイドPC TP1」 - (page 3)

インタビュー・文:木村早苗2007年03月09日 19時19分
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--それで出てきたのがこの丸いデザインなんですか。

隅井 はい。いくつかアイデアはあったのですが、丸って予想以上にムダなく、美しくいろいろなものを配置できるんですよ。四角くない分、スペースが少ないのでは? と思われがちなんですが、内部の基板や部品は変形の5角形に配置することによって、かなりギリギリまで部品が配置されているんです。もちろん、上手に配置できるよう基板や部品自体もTP1用に設計し直してもらっているのですが……。

--5角形に配置しても、5角形の外側、いわゆる円周の部分は余ってしまいますよね?

隅井 ええ。一見ムダに見えると思いますが、実はこの部分がケーブルとカバーのマネージを兼ねているんです。僕がこだわった部分の1つに配線があって、ここをきれいに見せたかった。以前、ヨーロッパでテレビのデザインを担当していたんですが、向こうでは配線を美しく収納する、という部分に重きが置かれるんです。その時の感覚を生かして、リビングに置くテレビならば、配線もきれいに見えた方がよいだろうと。ですからTP1は、きれいに見せるための機能的な空間デザインと言えますね。

ケーブルマネジメント 曲線の部分を生かしてケーブルをマネジメントしているのもデザイン特長の1つ。HDMIのほか、各種端子は背面にまとめて装備(上)マグネットで装着できるカバーを付ければ背面もスッキリ(下)

プラン、コスト、プライスすべてを見直してもこのデザインで行く


--デザイン的に新しい試みの多いTP1ですが、基板の特殊性も含めて、政光さんは社内プレゼンされる時、迷われませんでしたか?

政光 うーん。実は一晩悩みましたね(笑)。前の週まで四角いデザインベースで進めていたのに、その日の打ち合わせの終盤に設計担当者が、「実はこんなものを隅井さんが……」って丸形の図面を見せてきたんですよ。確かにインパクトがあったんですが、まあ僕は四角ベースで進んでた基板や設計の事を考えるわけで……。で、これをどうやって説得しようかと(笑)。最終的には客観的に発売された時のことを色々想像してみて、これは行けるかも、という結果になったんですが。

隅井 丸に決めた時点で、プランの立て直しやコスト、プライスの見直しが必要だということは重々承知で……。しかもすべてのスケジューリングをやり直す必要がある。それでもこちらのデザインを選んでくれたんですよね。

政光 当時はすごい雰囲気でしたけどね(笑)。

隅井 実はTP1をすべての人に使ってほしいとは思ってないんです。好き嫌いはもちろんあるだろうし。でも、テレビのちょっと違う楽しみ方をしたい層の目を惹きたいというか、今までとはちょっと違う感じを見せたかったんです。

政光 今すぐは買ってもらえないかもしれませんけどね。ただ、一般的に普及をするためには「これ何だろう?」って興味を持ってもらえることが大事かなと。

隅井 これはそのとっかかりみたいなものですね。

政光 結果、全国紙やマイクロソフトのWindows VistaのCMに登場したりと役割は十分果たせつつあります。マイクロソフトの「Windows Vista イノベーション アワード」も受賞できましたし。

--引き戸のようなスライド扉といい、細かな部分も工夫が盛りだくさんのデザインですね

隅井 スライド扉は設計部からの意見だったのですが、これがまたとんでもなく大変で(笑) 扉の収納スペースが必要だしスムーズな開け閉めも難しくて、設計者が頭を抱えてしまって。

政光 でも、前面が曲線でできていますから、ここをフタにしてしまうと非効率的なんですよ。地デジチューナーを買ったお客様が必ずTP1の上に重ねてくださるとも限らないから下向きにフタが開くと邪魔ですし、とにかく周囲に影響を与えない形にしようと。

隅井 このほかにもDVDのイジェクトボタンの代わりに全面プッシュするとフタが開くという構造を考えてくれたりとか、設計担当者も気を遣ってくれました。要素を絞って極力減らすような方向で進めました。

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