ソニーの株価は2006年12月以降、ほぼ一貫して上昇を続けている。世界同時株安の影響による連動安で3月2日には株価6000円台を割り込んだものの、2月27日には4500円から6500円を超える水準に到達。苦難続きだったソニーの株価は、ようやく上昇軌道に復帰しつつある。その背景を探った。
ソニーの株価は2月14日、昨年4月21日につけた6200円を上回り昨年来高値を更新した。2002年7月10日以来4年7カ月ぶりの高水準となった。
株価上昇の要因は複数考えられるが、分かりやすい材料としては1月30日の業績上方修正発表がある。同社は2007年3月期の連結業績(米国会計基準)について、営業利益は従来予想の500億円(前期比78%減)から100億円上方修正して600億円(同74%減)となる見通しとし、純利益も従来予想の800億円(前期比35%減)から300億円上方修正して1100億円(同11%減)になる見通しだと発表した。
これは、液晶テレビなどの販売好調で主力のエレクトロニクス事業が、従来予想に比べ順調な拡大をみせたのに加え、携帯電話を手掛けるソニー・エリクソンの業績堅調なども寄与するためだ。
米国の調査会社であるディスプレイサーチが2月13日に明らかにした2006年の世界テレビ市場の調査結果によると、液晶テレビの出荷額シェアでソニーが16%を獲得し、初めて首位になった。これは、40インチを超える大型タイプの製品が北米や欧州で好調に推移したためだ。2位は韓国のサムスン電子の15%、前年1位だったシャープは11.5%で3位となった。
準大手証券のアナリストは「液晶テレビの海外での予想以上の好調と外国為替相場での円安傾向も追い風となり、業績の上方修正につながった。ただ、新型ゲーム機の「PS3」の立ちあげに伴うコストの上昇で、ゲーム部門の営業利益が541億円の赤字(前年同期678億円の黒字)と膨らんでいることも確か。しかし、市場関係者は、来期後半以降の「PS3」の採算向上を読みはじめており、来期の業績回復への期待感がここ3カ月の株価上昇につながっているようだ」と指摘している。
さらに、2004年に設立された同社の金融部門を統合して分離した金融持ち株会社のソニーフィナンシャルホールディングス(ソニー生命保険、ソニー損害保険、ソニー銀行が傘下にある)が、来期の早い段階(早ければ2007年夏ごろか)で株式市場への新規上場が市場関係者のあいだで取りざたされている。「この上場に伴う株式売却益や保有株含み資産の評価が株価上昇の支援材料になるのではないか」との思惑が市場参加者のあいだで増幅しているようだ。
ソニーの株価は最近3カ月間に4500円から6500円へ約45%もの上昇をみせたため、現在の今期連結PERは50倍を越える割高水準になっていることや、最近円相場が反転して円高傾向を示し始めていることもあり、短期的には小幅な調整場面も想定される。しかし、中長期的には7000円台を目指す展開も期待できそうだ。
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