プロ御用達の業務用GPSデジタルカメラ--お気に入りガジェットバトン第11回

清水隆夫と言えばGPS?

 バトンを受け取り、編集担当氏からの第一声が「やはりGPSですか?」だった。しかし、すでにハンディGPSが紹介されていたので、可能であれば他のガジェットか、おもしろいGPSをという依頼。やはり、私の名前で抱くイメージは、GPSなんだなぁと思いつつ、口の悪い友人のライターが言った、「清水隆夫と言えばGPS、GPSと言えば清水隆夫」という言葉を想い出した。

Caplio Pro G3へ装着可能な多数のCFカード類と、GPS受信機群。一部のBluetooth型GPS受信機は日本国内では認可されていないので、国内では使用できない Caplio Pro G3へ装着可能な多数のCFカード類と、GPS受信機群。一部のBluetooth型GPS受信機は日本国内では認可されていないので、国内では使用できない

 と言う訳で多くの読者の方も、私のGPS関連ガジェットの記事をご希望だと思うので、期待を裏切らずに愛用のデジタルカメラを紹介しよう。「えっ!GPSじゃないの?!」と思わないで欲しい。私の愛用しているデジタルカメラは、もちろんGPS対応だ。シャッターを切れば、GPS受信機が測位した緯度経度と高度のデータを、撮影した画像へ自動的に記録してくれる。

 私の愛用しているデジタルカメラは、リコーの「Caplio Pro G3」という機種だ。この機種は、一般市場向けではなく業務用として販売されていた機種で、ベースとなった「Caplio G3」とデジタルカメラとしての機能は殆ど変わらない。しかし、このCaplio Pro G3には、CFスロットが装備されていて、このCFスロットへCF型GPS受信機カードを直接装着できる。

 さらに、GPSだけではなくCF型無線LANカード、CF型PHS、CF型Bluetoothカード、CF型RS-232Cカードまで装着可能だ。それぞれのCFカードの機能によって、撮影した画像をPHSや無線LANで送信したり、Bluetoothでプリントアウトもできるし、RS-232C経由でバーコードリーダのデータを画像に記録したりもできるのだ。この様にCFカードの機能によって、デジタルカメラ本来の機能に加え、そのCFカードの機能をシステマティックに使用可能な、スーパーデジタルカメラ、それが私の愛用するCaplio Pro G3だ。

万能GPSデジタルカメラ

 特に私が、Caplio Pro G3へ好んで装着するCFカードは、BluetoothカードとCF型GPS受信機カードだ。このBluetoothカードでは、Bluetooth型GPS受信機とペアリングしておき、ワイヤレスでGPSデータを画像へ記録できる。また、すでに紹介されているハンディGPS受信機を接続する場合には、RS-232Cカードを用いることもある。GPS受信機は、それぞれ特徴があり、用途によって使い分けているが、それらすべてに対応してくれるCaplio Pro G3は、私にとって万能GPSデジタルカメラと言っても過言ではない。

 しかし、この万能GPSデジタルカメラであるCaplio Pro G3も、今となっては弱点も目立つようになってきたのは否めない。撮影画素数が、今時のデジカメ内蔵ハイエンド携帯電話よりも低い300万画素とか、手ぶれ補正やISO高感度撮影ができない等が、主な弱点となってきてしまった。加えてGPSは、必ずアウトドアで使用するガジェットであり、突然の雨などでは、撮影を止めるしかない。

 そんな欠点を克服した、事実上Caplio Pro G3の後継機種となる業務用の「Caplio 500SE model B」(Caplio 500SE-B)が、昨年の9月にリコーから発売された。筆者も心を強く動かされそうになったが、同時に発表された「Caplio 500SE model W」(Caplio 500SE-W)が、その物欲を止めてくれた。Caplio 500SE-Bは、ベースとなる「Caplio 500G」へBluetoothを内蔵したモデル。そして、上位機となるCaplio 500SE-Wは、Caplio 500SE-Bへ無線LANをも内蔵したモデルなのだ。

“ウルトラ・デジタルカメラ”デビュー!

BCaplio 500SE-Wは、ボディの表面もラバーでコーティングされており、見るからにタフな外観だが、実際に軍用規格をパスするタフなデジタルカメラ Caplio 500SE-Wは、ボディの表面もラバーでコーティングされており、見るからにタフな外観だが、実際に軍用規格をパスするタフなデジタルカメラだ

 そのCaplio 500SE-Wが、いよいよ私の手元に届いた。まだ十分に使い込んではいないのだが、ベースとなるCaplio 500Gが備えているJIS規格準拠の防水防塵性能、米国の軍用規格であるMILスペック準拠の対ショック機能など、まさにアウトドアでも全天候型のタフなメカに加え、Bluetooth 2.0 +EDRとIEEE802.11b/g無線LANを内蔵したハイテク機能を合わせ持った、ウルトラ・デジタルカメラである。

Caplio Pro G3へ装着可能なBluetoothカードと無線LANカードを、Cpalio 500SE-Wは本体へ内蔵させた。後ろの3台は、国内で使用可能なBluetooth型GPS受信機 Caplio Pro G3へ装着可能なBluetoothカードと無線LANカードを、Cpalio 500SE-Wは本体へ内蔵させた。後ろの3台は、国内で使用可能なBluetooth型GPS受信機

 その他、Caplio 500SE model-Wは、リコー製のデジタルカメラが持つDNAを、しっかりと受け継いでいる。被写体1cmまで寄れる強力なマクロ撮影機能はもちろんのこと、28mm(35mm換算)ワイドからの3倍光学ズームや、電源スイッチを入れると瞬時に撮影スタンバイとなる起動速度の速さなども、ベースとなっているCaplio 500Gと、ほとんど変わらないデジタルカメラの基本性能機能も持っているのだ。

 Caplio 500SE-Wを持ち、近所へ試写に出かけたのは、今年の春一番の吹き荒れる日だったのだが、春の嵐の暴風雨の中でも、なんの心配もなく撮影を行えた。ただし、Caplio 500SE-Wは大丈夫だったが、撮影者の私は、ずぶ濡れになってしまった。とは言え、普通のデジタルカメラでは、とうてい撮影できない天候であっても、Caplio 500SE-Wなら問題はないという、全天候型のCaplio 500SE-Wには、ふさわしいデビュー日となった。

Google Earthで位置情報を持った画像を楽しむ

雨に濡れてもまったく支障なく撮影できるCaplio 500SE-W。水深1mまでならば、水中撮影も可能な防水性能を持つと共に、防塵、対ショック機能も優れている 雨に濡れてもまったく支障なく撮影できるCaplio 500SE-W。水深1mまでならば、水中撮影も可能な防水性能を持つと共に、防塵、対ショック機能も優れている

 さて、そんなGPS対応のCaplio Pro G3や500SE-Wで撮影した画像だが、以前は専用ツールや市販の対応電子地図ソフトが不可欠だったが、今はとても便利になった。私も愛用しているのだが、Googleが無償で提供している、デジタル写真画像用ツールの「Google Picasa 2」と、同じくGoogleの無償提供している、衛星写真地球儀ビューア「Google Earth」を使えば、誰でもが簡単にGPS位置情報を持った画像を用いて楽しめる。

Picasa2で画像を取り込み、フォルダを選択しメニューからワンクリックでGoogle Earth上へ撮影された場所を表示できる Picasa2で画像を取り込み、フォルダを選択しメニューからワンクリックでGoogle Earth上へ撮影された場所を表示できる

 やり方は簡単で、Picasa 2へ画像を読み込ませてから、「ツール(T)」から「ジオタグ(G)」を選び、そこから「Google Earthで表示...」をクリックすれば、後は自動的にGoogle Earthが起動し、撮影した場所へ画像を登録してくれる。同様の事は、GPSとデジカメを内蔵した携帯電話で撮影し、画像のファイル保存時に、緯度経度情報を記録した画像でも行えるので、是非試して欲しい。

 ただし、GPS携帯を用いて撮影する場合は、一部のローミング先の国を除き、国内のみしかGPSが機能しないので、海外での撮影にはGPS記録も対応しない。全世界、どこでもGPSによる緯度経度を記録した画像を撮影できるのは、やはりCaplio 500SEシリーズなどのGPS対応をしている、ほんの僅かな機種のデジタルカメラだけとなってしまうのだ。

清水隆夫氏プロフィール

某国内総合電気メーカーにエンジニアとして在籍中より、ライター業を始める。退職後、フリーランスのエンジニア兼ライターとして活動。一時は、某外資系ソフトウェア会社にヘッドハンティングされたりもするが、現在は再びフリーランスのエンジニア兼ライターとして活動中。人呼んで「闘うテクニカルライター」として、エンジニアとユーザ双方の視点で製品評価を行い、時には製品メーカーから煙たがられることもあったが、現在は温和しいらしい。


【使用製品】

型番:リコー Caplio Pro G3、リコー Caplio 500SE model W


【お気に入り度合い】

Caplio Pro G3は2年間も愛用したGPS対応デジカメ。さすがに画素数が携帯電話内蔵のデジカメと同等になってしまったので、新発売となったにCaplio 500SE-Wへ新旧交代。でも、予備のGPSデジカメとして、Caplio Pro G3も手放さず手元に置いておきます。


【次回執筆者】

高橋隆雄さん


【次回の執筆者にひとこと】

知る人ぞ知る、日本でのAsterisk第一人者。私と同じフリーランスのエンジニア兼ライターでもあります。人呼んで「傭兵エンジニア」の愛用するガジェットは、私も興味津々です。

【バトンRoundUp】

START第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) →第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) →第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) →第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ) →第6回:石井英男氏(いつでもどこでもインターネット接続が可能なPHS通信アダプタ) →第7回:大島 篤氏(電卓とデジタル時計の秘密) →第8回:荻窪 圭氏(自転車とGPSがあればどこにでもいけます) →第9回:田中裕子(Yuko Tanaka)氏(これでクラシックもOK!究極のカナル型イヤフォン) →第10回:佐橋慶信氏(ビジュアル・ブックマークの実践方法とは?)

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