トレンドマイクロは2月15日、2006年12月期の第4四半期(2006年10〜12月)における連結業績予想を修正すると発表した。これを受けて同社の株価が反転上昇の兆しを鮮明にしてきた。同社の今後の業績推移と株価動向を探った。
同社が修正した同期の連結業績予想によると、売上高は従来予想を5億円上方修正して233億円、営業利益は同4億円の下方修正となる67億円、純利益は12億円上方修正の50億円となった。
売上高を上方修正したのは、主に米国や欧州において販売が予想を上回ったためだ。ただ、同社の会計処理上、契約締結ベース額のすべてを売上高に計上することはできない。一方、同金額の増加に関連するコストは全額費用計上されるため、これが第4四半期の営業利益を圧迫。営業利益においては下方修正するという結果になった。
純利益については、受取利息など営業外収益の増加が寄与したのに加え、保守的に見積もっていた法人税などが想定より少なくなる見込みから、当初予想に比べて大幅に上方修正することとなった。
今回の業績修正について中堅証券のアナリストは、「業績予想の修正は売上高の上方修正をポジティブに評価したい。営業利益が下方修正になったのは、同社が実際に顧客に製品を納入した時点で売上高を計上する方法を採用している一方、納期が後の期にずれ込んだ分に関連した販売促進費用などの費用だけが今期中に計上されるためで、単なる“期ズレ”に過ぎず、マイナス要因とは言えない」としている。
ただし、純利益の上方修正は営業外収益の増加によるもので、今後の株価にとっては中立要因と判断としたほうがよさそうだ。
同社は15日、中小企業向け総合セキュリティソフトの最新版「Trend Micro ウイルスバスター ビジネスセキュリティ3.5」を発売すると発表。28日に出荷を開始し、1年間で5億円の売上高を目指すとしている。
このソフトは「Trend Micro ウイルスバスター ビジネスセキュリティ」に付属していたスパイウェア対策専用ソフト「Trend Microスパイバスター ビジネスセキュリティ」の機能を統合し、導入と管理も一元化したもの。さらに、スパイウェアとボット型ウイルス対策を大幅に強化したもので、来期以降の同社の業績に大きく寄与してくるものと期待されている。
同社の株価は昨年5月に4720円の高値をつけて以降、なだらかながらほぼ長期の下落トレンドをたどり、先週初の2月13日には一時3010円まで下落し、昨年来安値をつけた。
しかし、その後の業績修正を好感するかたちで反発に転じ、週末の16日終値は3300円まで上昇してきた。直近の東証信用倍率は1.12倍と拮抗しているうえに、先週末現在で連結PERは29倍とIT関連銘柄としては決して割高とは言えない水準。来期以降も20%程度の営業利益ベースでの成長が見込めることから、中期的には株価3800円台回復に期待がかかりそうだ。
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