IPv6は、現在使用されているIPv4のアドレスが枯渇しつつある状況を受けて、より多くのIPアドレスをサポートできるように作られている。IPv6が普及すれば、インターネットに接続できるデバイスの数が増えるばかりでなく、各デバイスに個別のアドレスが与えられることから、きめ細かいセキュリティ管理が可能になるとMundie氏は説明した。また、Windows XPおよびVistaに搭載されている機能が、IPv6への移行に役立つという。
「われわれとしては、IPv6インフラストラクチャへの移行はそれほど難しくはないと考えている。特に大げさなインフラを用意しておく必要はないのだ」(Mundie氏)
一方Gates氏は、データ自体の保護はまた別の重要問題だと述べている。同氏はPC上のデータを囲い込む手段として、Vistaのハイエンド版に実装されているディスクドライブ暗号化機能「BitLocker」を挙げた。
さらに、企業が機密情報の流れを把握するためには、権利管理システムも有用だという。例えば、そうした権利設定の仕組みを活用して、特定の電子メールメッセージを転送したり、開いたりすることのできるユーザーを限定すれば、データ喪失のリスクを軽減できると、Gates氏は述べている。
Microsoftは以前から、パスワードを排除してコンピュータセキュリティの弱点をなくすという構想を打ち出してきたが、今回の同氏の講演にもそうしたメッセージが含まれていた。Gates氏は、今後は新たな技術がパスワードに代わり、コンピュータやインターネットを使用しているユーザーを特定することになると展望した。
「パスワードは、それ自身が脆弱である以上に、数が増えれば増えるほど危険性も増すという大きな問題を抱えている」(Gates氏)
Vistaには、パスワードの代用となる「Windows CardSpace」という消費者向けの機能が搭載されている。CardSpaceは、複数のインフォメーションカードを格納しておいて、オンライン取り引きをする際の身元確認に使うアプリケーションで、ちょうど個人の財布のような働きをする。
「われわれは、こうした新機能をいくつもVistaに追加した。今にあらゆるユーザーが、これらをごく当たり前に使うようになるだろう」(Mundie氏)
企業向けの認証分野に関しては、Microsoftは2007年5月にリリースする予定の「Identity Lifecycle Manager 2007」などを積極的にアピールしている。「企業がパスワードからスマートカードへの移行を進める中で、同製品の登場は画期的な出来事になるはずだ」(Gates氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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