米地裁は米国時間1月19日、音楽業界による衛星ラジオ放送局XM Satellite Radioの提訴を認める判決を下した。XMは、放送で流す楽曲の録音を可能にしておきながら、その対価を支払っていないとして音楽業界に提訴されている。
ニューヨーク地裁のDiane Batts判事が下したこの判決により、Atlantic RecordingやCapitol Recordsといったレコード会社は、XMに対して訴訟を進めることが可能になった。
レコード業界が2006年5月に提起したXMに対する民事訴訟の訴状によると、XMは、加入者が楽曲をMP3ファイルとして聴くだけでなく、保存やリプレイも可能にしているという。「XM + MP3」という商品名で販売されている専用プレーヤーを使用することにより、ユーザーはXMの放送で流れる音楽を保存し、それをMP3ファイルに変換することができる。レコード業界は、この行為は楽曲の著作権侵害に当たると主張している。
これに対しXMは、ラジオ放送のリスナーは1992年に制定されたオーディオ家庭録音法(Audio Home Recording Act:AHRA)の下で、ラジオで流れた楽曲を個人使用目的で録音することが法的に認められている、と主張している。しかし、Batts判事はXMの見解に同意しなかった。たしかに昔からラジオのリスナーが標準的なラジオ放送で流れる楽曲を録音することは認められていた。しかし、衛星ラジオ放送はデジタル放送であり、一般のラジオ放送とは異なる。衛星ラジオ放送のリスナーは音楽ライブラリを一覧し、短時間に大量の楽曲が録音可能だとレコード業界は主張している。
レコード業界の業界団体である全米レコード協会(RIAA)は声明の中で、「AHRAを法の抜け穴として利用しようとしたXMの試みを排除する判決が下されたことを喜んでいる」とし、さらに「(AHRAは)楽曲を配布、提供しているサービス事業者に、製作者に当然支払うべき対価の支払いを回避させることを意図した法律では決してない」と語った。
XMは声明の中で、判決について次のように語った。「訴訟のこの段階では、裁判所は、原告(レコード業界)が申立書の中で述べている誤った主張に基づいて判決を下さざるを得ない。しかし、真実は、AHRAの下ではこの訴訟は認められないとするわれわれの見解を強く裏付けるものだ。われわれは、法廷の場で論証できることを楽しみにしている」
米議会は間もなく、同様の議論に着手する。先週、Dianne Feinstein氏(カリフォルニア州選出、民主党)をはじめとする上院議員のグループが、論議を呼んでいる法案を再提出した。この法案は、衛星、インターネットラジオサービスに対し、リスナーによる楽曲の録音、再生を制限するよう義務付けるものだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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