手書き認識を実現してくれるノート、というとかなりデジタルな様子を思い浮かべがちだが、airpenストレージノートは違う。airpenストレージノートを初めて見たとき、しっかりとした黒い本革のバインダーノートという印象が伝わってきた。基本は本革の黒だが、前面に付いているペンホルダーは、赤、白、茶の3色展開でアクセントを与えてくれる。このペンホルダーに、airpenストレージノートのペンが付属してくる。
ノートを折りたたんだ先には、横長のセンサーユニットが配置されている。ノートのタテの幅いっぱいではなく、一回り短いサイズで弧を描くような曲線で形成されている。ペンと共にプラスティックの素材感は革のノートの中の雰囲気にはマッチしないが、黒で統一されている点で大きな違和感を覚えない。なにしろ、これがデジタルグッズだとすぐわかる人も少ないのではないか、と推測できるからだ。電池は単4乾電池1つで動作するので、電池の少なさがサイズや軽さに寄与しているのだろう。
本体のサイズは242mm×240mmのほぼ正方形に近いカタチをしており、厚みは25mm。重さは550g。普段僕はA4の革のバインダーとRHODIAのノートを使っているが、これに比べても少し軽いくらいだ。A5ノートの部分は上から皮の表紙が折りたたまれているが、センサーユニットの部分は常に露出する。センサーユニットの曲線に会わせて、下表紙の縁も弧を描いていてカタチの統一感を感じることができる。またバインダーはそのまま折り返せるようになっているため、机のないところでのメモにも威力を発揮する機能性を兼ね備えている。
そしてデジタルペン。センサーが仕込まれているので重たいかと思っていたが、自分が使っているRotringの伸縮式の万年筆よりも軽いくらいであった。キャップを外すと通常のぺんてるのボールペンが顔を覗かせる。書き味も本当に普通のボールペンそのもので、リフィルにはぺんてる製KFS7-AD(黒インキ)が用意されている。ちなみにペンのお尻の部分を明けると、SR41というボタン電池が2個入っていて、この電力を使って筆跡の情報をセンサーに送るようだ。
一目見ると品の良いバインダーノートと普通のペンのセットのように見えるairpenストレージノート。当然普通のノートとペン同様、紙に文字を書いてそれを記録しておくことができる。ところがセンサー部分の電源を入れて紙に書き始めれば、「ストレージノート」の名を冠する理由がわかってくる。
まずセンサーユニットの電源を入れて、センサーユニットに並ぶ5つのボタンから「1/NEW」をペン先で押すと、新たな紙で書き始めることができる。ペン先でボタンを押すと、ユニットの上にあるインジケータが知らせてくれるので、キチンと押されているかどうかを判断するのに便利だ。準備ができたら早速ノートに書き始める。ボールペンは紙に少し強めにこするように書くのだが、紙にペン先が当たるとわずかに本体にクリック感が感じられることに気付いた。
airpenストレージノートが読み取る原理は、赤外線と超音波のダブルセンサーによるものだそうだ。高速が音速よりも早いことから、赤外線で読み取り開始の合図を出し、ユニットの両端に仕込まれている2つの超音波センサーによってペン先の位置を算出し、これを連続的に行うために、文字のような細かい文字の集合体のようなデータも読み取ることができる。本体にはA5サイズなら100枚分のデータを蓄積できる2Mバイトの容量を持つ。
一通り書いたところで、Windows PCとairpenストレージノートをUSBケーブルで接続してみる。airpenストレージノートの本体にはmini USBポートが付いており、たとえばデジタルカメラのメモリカードリーダーやPDAで使っているモノをほぼそのまま流用できる。接続してユーティリティーソフト「airpenマネージャー」を起動すると、特に操作をすることなく、センサーユニットに溜まっている読み取ったデータがPCの画面上に表示される。
僕の文字の上手下手の問題は置いておいて、本当に書いたとおりに読み込まれている様子がわかる。天気図の枠線だけが、何らかの理由でずれてしまっているが、それ以外は細かく書いた雪だるまのディテールも含めて、キチンと再現されている様子がわかるだろうか。実際に書いた紙の写真と文字と図を混ぜた作例を両方ともフォトレポートに載せてあるので、精度の評価をしてみて欲しい。
ちなみにセンサーユニットは取り外すことができるようになっているので、お手入れの際や、別のところでセンサーを使いたいという場合にも対応できるだろう。センサーユニットは、A4やリーガルサイズの紙でも読み取ることができるようになっている。
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