天気の概況と簡単な天気図と雪だるまのイラストを描いてから、一度ユニットをリセットして(改ページに相当する)、今度はUSBケーブルに接続したまま読み取らせる、直接読み取りモードでノートに書いてみる。文章と、クルマのイラストを書いてみた。書いている最中は、線が書き終わる毎にPCの画面上に線が表示されていく。精度はメモリユニットに貯めてPCで読み出す際と変わらないが、その都度きれいな線が画面に再現される様子には感動を覚える。
たとえばキチンとプロジェクターとスクリーンが用意されている会議室でアイデアを練る際に、プロジェクターとつながったPCにairpenストレージノートを接続すれば、大きな画面にメモを出して、アイデアを共有しながら会議を進めることができる。しかしそのデジタル化されたデータをどうするか。できれば、その場にいた人と打ち合わせ後もアイデアメモを共有しておきたいと思うものだ。当然、airpenストレージノートはこれに対応する。
読み取ったデータに関しては、そのまま画像としてファイルに出力することができ、電子メールに添付したり、ワープロやプレゼンテーションのファイルにそのまま貼り付けることも可能になる。そのままプリンターで印刷すれば、ノートの紙を切り取ってコピー機に走ることなく手書きながら資料として共有することもできるだろう。また予め決まったフォーマットの用紙を使っているなら、フォーマットと読み取り結果を合成して保存すると言った使い方も可能だ。
手書きのデータとして取り回しをするのも便利だが、さらに踏み込んで完全にデジタルデータ化することもできる。試用版として付属してくるInk Magic for airpenを利用すると、手書きで書いた文字をテキスト化してくれたり、表組みを作成してくれたりし、画像ではないキチンとしたデジタルデータに変換してくれる。
僕が試してみたのは、読み取り結果をJPEG形式の画像に保存し、それをAdobe Illustratorで読み込ませて、「ライブトレース」機能にかける方法だ。ライブトレースは、写真や手書きイラストといったJPG、GIF、BMP、TIFF、PICTなどの多様な画像(ラスターデータ)を、拡大しても鮮明な画像が得られる画像(ベクターデータ)に変換してくれる機能で、イラストのデジタルデータ化を行うことができる。これによって先ほどairpenで書いたクルマのイラストは、A0版のポスターに拡大してもきれいな線のイラストとして印刷することができるようになる。
テキストにしてもイラストにしても、もう一手間かけることになるが、紙をわざわざ用意して手書きし、それをスキャナーで読み取る動作と、普段使っているノートに書くだけでPCに取り込めるのとを比べれば、使い勝手のよさは格段に高い。特に、スキャナを使うユーザーならわかるのではないだろうか。
PCを使うとき、文字を入力するのはキーボード、機能にアクセスしたり線を書くのはマウス、その結果を愛で確かめるのはディスプレイ、と言うのが基本的な利用スタイルだと思う。タイピングは訓練すればどんどん早くなっていくし、マウスの線描画も慣れていけば上達していく。
それでも僕が紙とペンを使っているのは、いくらタイピングが早くなったとしても、マウスの描画が上手くなったとしても、紙にペンで書くスピードの方が総合的に早いからだ。思い立ったらすぐに書きたいように書く。文字とイラストを織り交ぜるのもソフトを変えたりマウスを持ち替えたりする必要がない。それでも書くスピード、描くスピードに追いつかないかもしれない、とすら思うくらいだ。
airpenストレージノートは、そんな紙とペンに求める思考のスピードをそのまま実現してくれて、しかもデジタル化する道を用意してくれる思考インターフェースである。読み取り精度は100dpiで、スキャナに比べると決して高くないが、普通のボールペンで書きうる文字サイズからすれば問題ない。なにより、モノにこだわる人にとっても、納得のいく質感を実現してくれている点がうれしい。
だからこその贅沢な要求かもしれないが、僕は普段万年筆を使っているので、できれば万年筆タイプのデジタルペンが出てこないだろうか? 書き味という好みを叶えてくれるペンが選べない点は、紙とペン派のユーザーとして進化をお願いしたいところだ。
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